
松川村の美術家・長谷川明夫さん(75)は9日まで、展覧会「希望が叶(かな)う森の時計」を、安曇野市穂高交流学習センターみらいで開いている。「森に流れる長い時の流れ」をテーマに描いた抽象画12点と、死んでからも森に魂を置くクマを主人公に自作した絵本の原画9点を展示。11~17日、市内の別会場でも同様の展覧会を開く。長谷川さんは50年ほど前、村内の高原で猟師に撃たれ、運ばれていくクマを見た。「顔に尊厳を感じて、長年忘れられなかった」と言う。今回原画を発表している絵本(タイトルは展覧会名と同じ)は、そのクマの気持ちになって作ったという。
絵本の中でクマは登場間もなく撃たれて死ぬが、その魂は星や雲、鳥などと共に過去へ、未来へと流されながら、今でも森の中で暮らしている|というストーリー。
原画はクマや空、森などをデフォルメして描いた。抽象画のうち9点は「森の時計」の題名で、それぞれに「1528」「5407」など西暦を表す数が添えられている。クマの魂が過ごしている年を表しているという。他に「光の日配便」などの大作2点もある。
11~17日は安曇野高橋節郎記念美術館(穂高北穂高)主屋(おもや)に展示(同展のみの入場は無料)。両会場とも午前9時~午後5時(どちらも最終日は3時)。
絵本は300部を制作。欲しい人には電話(090・7800・5200)で対応する。