
松本市文書館(鎌田2)が開く講座が25年目を迎えた。本年度の初回は1日、10月の新市立博物館オープンを前に、博物館の前身である「明治三十七八年戦役紀念館」などについて、窪田雅之・文書館特別専門員(66)が講演した。これに合わせ、戦役紀念館などの資料を展示する企画展も30日まで開いている。
講演のタイトルは「資料が語る筑摩県博覧会の開催、明治三十七八年戦役紀念館の誕生」。紀念館は1904(明治37)~05年の日露戦争で、出征した松本町(当時)の兵士が戦利品などを、松本尋常高等小学校に寄贈したのが元になり、06年9月に開かれた。
窪田さんは「紀念館は、当初は国威発揚、児童教育の場だった」が、その後は市民の寄贈資料も増え、「郷土博物館で、社会教育と文化向上に資する施設となった」と解説。これを松本の「博物館こと始め」だとした。
紀念館開館より前の1873(明治6)年、取り壊される寸前だった松本城天守で市川量造らが開いた「筑摩県博覧会」も取り上げた。市川が天守借用の申請段階で、「松本城天守を『博覧館』として使いたい」旨の建言(意見申立書)を提出していたと指摘。松本の博物館の底流ともいえる市川の先駆的な思いに触れた。
25年の節目となる講座について、文書館の石井敬一館長(63)は「私たちは、過去の経験を無駄にしないことが大切。機会をとらえて文書館にある資料について解説し、市民に活用していただくよう工夫したい」と話す。
本年度の講座は来年3月2日まで全7回。次回は8月5日、文書館専門員の木曽寿紀さんが「川島浪速と満蒙独立運動」の題で話す。月曜と祝日休館。TEL0263・28・5570