「上高地線愛」募り写真集を自費出版

写真集「そこに人がいるから」出版 信州大大学院生 小林智樹さん

信州大大学院に通う小林智樹さん(23、松本市大村、東京都出身)が、アルピコ交通上高地線と人をテーマに写真集「そこに人がいるから」を自費で作った。8日から新村、波田、新島々各駅の窓口で販売を始めた。
幼い頃から鉄道が好きで、電車の写真を撮っていた小林さん。松本に移住後は、地域に息づく上高地線と季節の風景に魅了された。
2021年8月、大雨で田川橋梁(きょうりょう)が傾き、一部が運休に。「応援したい」と、復旧支援活動をしていた「しましま本店実行委員会」に参加した。沿線の人たちとつながりができると、上高地線愛はさらに強まった。
「人がいるから電車が走っている」。そう気付いてから、撮影テーマは「人と電車」になった。

「人と電車」出会い楽しく

鉄道好きで、特に地方のローカル線が好きな小林智樹さん。信州大に進学して松本に住むようになると、必然的に上高地線が重要な被写体になった。
大雨で一部運休になった同線を応援しようと「しましま本店実行委員会」に参加し、人との交流が深まると、沿線通いがより楽しくなった。今は週に1回、1日フリー乗車券で途中下車しながら写真を撮り続けている。
通ううちに顔見知りの乗客が増えた。撮影していると、農作業中の人から声をかけられるなど新しい出会いがあり、それが楽しくてまた通う。「良い出会いをした日は良い写真が撮れる」と実感している。

SNSで発表も「物」で残したい

SNSなどで作品を発表してきたが、「SNSに接しない人たちにも見てもらいたい。物として大切に残したい」と考え、写真集の発行を決意。4月に沿線などで開かれた古書イベントに合わせ、50部完成させた。イベントや市内個人書店で販売してきた。
見た人からは、電車だけでなく周りの風景や人も一緒に表現していることを評価する声が、多く寄せられた。アルピコ交通からも「駅で売ってみないか」と声をかけられ100部増刷、駅での販売も始まった。
写真集「そこに人がいるから」はA5判48ページ、千円。「人」をメインテーマに通勤や通学、登山客、鉄道員の三つのサブテーマで32枚の写真を選び、四季の移ろいを感じられるように構成した。
駅での販売を記念して、「探索マップ」を手作りして付録とした。「ここに行ってみたいと思えるように。沿線探索の旅の助けにしてほしい」と小林さん。イラストは、写真集でも協力してくれた知人の榊あきらさんが担当した。
市内書店でも扱っている。取扱店の情報などは小林さんのインスタグラムから。