「ゆるBASEALPおっさんの会」本格始動

人生後半戦まだ見ぬ世界へ

おっさん元気で留守しよう!
大北・安曇野地域を拠点に3月に発足した中高年男性の集まり「ゆるBASE(ベース)AL(アル)P(プ)おっさんの会」の活動が、本格化している。仕事や地域を超えた新たな仲間づくりをし、人生の後半戦で夢中になれる趣味を見つけて楽しむ、気兼ねのない居場所だ。
会員は大北、安曇野地域の40~80代の28人。月例会や、陶芸、木工などのやりたいテーマごとに活動する。
定年後などに家にこもりがちな男性が、外へ踏み出すきっかけにもする。初対面同士でも、会話をすると思いがけず共通の趣味が見つかり、これからやりたいことの話で盛り上がる…。過去の肩書は口にしない「ゆる~い」集まりをのぞくと、笑顔が輝いていた。

陶芸や木工などやりたいを形に

6月下旬、安曇野市穂高陶芸会館に集った「ALPおっさんの会」陶芸プロジェクトの面々。5人で月2回活動し、この日は粘土で食器や置き物などを形作った。「どうやってひっくり返すんだっけ?」。初心者の疑問には会館の講師だけでなく、経験のあるメンバーも答える。
以前から興味があり、入会後に陶芸を始めた小穴泰己さん(74、池田町会染)。自作の湯飲みを眺め「もう少しうまくできると思ったが」と苦笑い。それでも「子どもの頃の土いじりの感覚がよみがえる。新しいチャレンジは、きっかけがないとできない」と楽しそうだ。
9人が参加する木工プロジェクトは「木楽(きらく)の会」と名付け、文字通り気楽に月1回集まる。プランターカバーやあんどんなど、自宅で製作やリメークした実用品を持ち寄り、助言を受けたり、ヒントをもらったり。メンバーで建設会社会長の小林治男さん(76、大町市大町)が、職業経験を元に技術的なこつをアドバイスする。
大町市内の60代のメンバーは、妻の要望でアンティークの本棚にステンドグラスを自力ではめてリメーク。細部の仕上げは「技術がなく、お手上げ」。小林さんは的確な助言をした上で「やる気が技術。意地と根性でやりましょう!」と励ました。木楽(きらく)の会のリーダー、湯田永八さん(76、池田町会染)は県外からのIターン者で、「地元に仲間をつくりたい」。和気あいあいと木工談義に花が咲き、「脱線もまた楽し」だ。
やりたいことに賛同者が集まれば、新プロジェクトは随時立ち上がり、掛け持ち参加もできる。参加は強制しない。現在は陶芸、木工、動画編集・SNS、運動の四つが活動。合唱が近く動き出す見通しで、今後も増えそうだ。手掛けた作品は、11月の大町市文化祭に展示し、会のPRもする考えだ。

「前向きな活力」地域や家庭にも

ALPおっさんの会は、県シニア大学大北学部で学んだ同市平の向井均さん(66)が発案。長野市で活動する同趣旨の会を視察するなどして賛同者を集め、地域に心地のよい第3の居場所を立ち上げた。
全員対象の月例会では「今月のおっさん紹介」と銘打ち、2人がそれぞれ20分程度の自己紹介を兼ねた話をする。半生を振り返るなど「本当に面白く、聞く人も真剣」と会代表の向井さん。数人ずつによる世間話の時間「ゆる談」も設ける。県内他地域の中高年男性の会との交流なども計画。向井さんは「男性の居場所を身近につくる動きが各地に広がればうれしい」と期待する。
メンバーを批判しない決まりで、フラットな立場でつながり、まだ見ぬ世界へ飛び込む。活動時、少年のような目の輝きが印象的だ。前向きなおっさんたちの活力は、地域や家庭にも波及していきそうだ。
メンバーは随時募集。年会費1200円、プロジェクト活動費は実費。居住地は不問。活動はインスタグラムで発信。