信大生週末限定のバー開店

夜の浅間温泉ににぎわいを

ポリネシア語で「火」を意味する「ASAM(アサム)」。松本市浅間温泉2にオープンした、週末限定で営業するバーの店名だ。店を切り盛りするのは、信州大の男子学生3人。目標は夜の浅間温泉に、かつてのにぎわいを取り戻すこと。「みんなを集める『火』のような存在になりたい」と張り切っている。

「自分たちの手で恩返ししたい」

経営するのは経法学部4年の佐々木琢馬さん(21、京都市出身)、大学院医学系研究科1年の齋藤祐斗さん(24、山梨県北杜市出身)、理学部3年の塚田光砂さん(21、佐久市出身)。3人は、店の隣のホテル玉之湯でアルバイトする仲間。配膳など接客を担当している。
浅間温泉で過ごす時間が長くなり、愛着が生まれる一方で、お客から「昔この辺の夜はにぎやかだった」「今は夕食の後、飲みに行く店がない」などの話を聞き、「信大に来てお世話になった。自分たちの手で恩返しがしたい」(佐々木さん)という思いが湧き上がった。
昨冬、玉之湯の社長に、同館が運営するそば店「つけもの喫茶」の営業時間外を借りたいと願い出て、快諾を得た。佐々木さんは「バーなら接客などバイトの経験が生きる。地元の人と旅行者の、交流の場にもなれば」と狙いを話す。
ドリンクは50種類ほど。カクテル「音泉(おんせん)イチゴアップル」は、浅間温泉で栽培するイチゴと信州産りんごジュースを使用。夏に合う酒を亀田屋酒造店(同市島立)に教わるなど、地元にこだわった。つまみも6種類ほどある。

活動は後輩に引き継ぐ

浅間温泉が「大好き」という佐々木さんは、県外への就職が内定している。「昔の趣が残っているところがいい」と言う齋藤さん、「大学のすぐそばに、温泉街があること自体珍しい」と話す塚田さんも、それぞれほれ込んでいるが、数年後には松本を離れる可能性が高い。
ASAMはどうする?佐々木さんは「バーを開くと決めた時に、プロジェクト化した。活動に興味を持ってくれた1年生もいる。店を開き、後輩たちに引き継ぐのが、僕らの役目」と、長く愛される店にするための、布石も打っている。
午後7時~午前0時。7月中は土曜だけ、8月から金曜も営業する予定だ。問い合わせはメール(barasama2023@gmail.com)で。