
松本市の深志神社(深志3)と筑摩神社(筑摩2)が1体ずつ保管し「対」の可能性が高いとみられる木製の狛犬(こまいぬ)が、24、25日に深志社で開く「天神祭」と、8月10、11日の筑摩社例大祭で展示される。2体は昨年3月に対面した。「対」の形での一般公開は初めてだ。
2体は体高が44・5センチ、体長が39~39・5センチとほとんど同じ大きさ。胴体は寄せ木造りで、中世~近世に作られたとみられる。深志社の像は口を開いた阿(あ)形(ぎょう)、筑摩社の像は口を閉じた吽形(うんぎょう)。狛犬は寺社で一対で向き合うか参拝者と正対して置かれるのが一般的で「阿・吽」の形が多い。
深志社の像は松本藩主だった小笠原家の奉納と伝えられ、本殿に「宝物」として保管。筑摩社の像は7年前、当時の氏子総代らが絵馬殿などを整理した際、宝蔵庫から発見した。
筑摩社の関係者が深志社の図録に掲載された狛犬を見て「筑摩の狛犬が似ている」と指摘し、深志社に連絡。これを機に昨年3月、筑摩社の社務所に両社の宮司らが集まり、2体を検分した。
2体が対とは断定できないが、狛犬研究家の高松伸幸さん(54、安曇野市穂高有明)は「2体はかつて一対で存在したが、何らかの事情で離れ離れになったのではないか」との見方を示す。対だとすれば「なぜ別々になったのか」など謎が残る。
深志社の牟禮(むれ)仁宮司(74)は「昨年3月に初めて顔合わせをした貴重な狛犬を祭りに合わせて展示し、広く知ってもらう機会にしたい」と話している。
展示は深志社が24日午後7時~8時半と25日午前11時半~午後0時半。拝殿で参拝者が見やすい場所に置く。筑摩社は8月10日の宵祭り(午後6時~)と11日の本祭り(午後3時~)の間、社務所で。問い合わせは深志社(TEL0263・32・1214)へ。