【醸し人】#4 丘の上幸西ワイナリー 代表・幸西義治さん

片丘の魅力を引き出す

ワイン用ブドウの新たな産地として注目を浴びる塩尻市片丘地区で、いち早く栽培と醸造を始めた「丘の上幸西ワイナリー」(同市片丘)。代表兼醸造責任者の幸西義治さん(65)は、「この一帯が北海道の富良野のような、観光地になれば」との夢を抱きながら、「片丘らしい」ワインを醸す。
高ボッチ西麓を南北に走る東山山麓線沿いにワイナリーはある。かつては、ブドウ畑はおろか、果樹畑もほとんどなかったこの地を拠点としたのは、「塩尻の観光に協力できれば」との思いからだ。
午前5~10時に畑作業をすると、ワイナリーへ戻る。あとは客との時間。ワインについて語り合ったり、ブドウ畑を案内したり。丘陵を吹き抜ける爽やかな風の中で、幸西さんと過ごす時間そのものが、このワイナリーの魅力でもある。
「酒どころ」の広島県出身。エプソンへの就職を機に塩尻へ。ワインと深い接点ができたのは2011年、市の「塩尻観光ワインガイド」養成講座を受講したのがきっかけだ。「妻に勧められて、素直に乗っかった。50歳を過ぎ、何か新しいことをしたかった」。
ガイドを続けるうちにワインへの興味が高まり、14年、塩尻ワイン大学と県主催の「ワイン生産アカデミー」に参加。熱い思いを持った仲間たちに刺激され、翌年、会社を早期退職。片丘の遊休農地にメルローやソーヴィニヨンブランなど5品種を植えた。
もともとは、時計やラベルプリンター「テプラ」などの商品を開発、設計してきた“ものづくり人間”。「ワインは、同じ品種のブドウでも醸す土地によって味が違う。『これが片丘ワイン』と言えるものを造りたいですね」。ものづくりの情熱をたぎらせる。

【沿革】
おかのうえこうにしワイナリー
 2015年に塩尻市片丘の50アールの畑でワイン用ブドウ約1000本の栽培を開始。19年、畑の横にワイナリー完成。20年に初醸造ワインを発売。夫婦2人で営む。午前10時~午後5時。水、木曜定休。

【幸西さんおすすめこの1本】
メルロー2022(750ミリリットル2750円)

【相性のいい料理】
山賊焼き、そばなど

【連絡先】
丘の上幸西ワイナリーTEL090・1760・0061