【なないろキッズ】 #86 飼う前に十分検討を

ペットとして動物や生き物を飼うことについて外来診療で相談されることがあります。ものを言わぬ動物や生き物をかわいがり、世話をすることで、癒やしを得たり、責任感が芽生えたりする良い効果もありそうです。お子さんが自発的に、ペットを飼いたいと言っている場合、以下のことに気を付けて検討していただくとよいかと思います。
世話の仕方や寿命、経済的な負担などさまざまな観点から、現在の生活で命を支えていくことができるかについては、大人が十分検討してください。子どもだけでは世話が十分にできなかったり、数年後に家から離れることがあったりするかもしれません。家族全体で責任をもっていけるかどうかを事前に検討しましょう。
子どもに一定の世話を任せる場合、世話の仕方や関わり方などは、子どもに分かりやすいマニュアル(本、ウェブサイト、動画)などを入手したり、手順書を作る、忘れないようリマインダーを設置するなどして、正しいやり方を自立して実践できるように手助けしていくとよいでしょう。
学校生活等で負荷やストレスがかかってくると、世話をしようと思っても気持ちの余力がなく、だんだん世話ができなくなってしまうこともよくあります。ペットを飼うことでノルマが増えて、家庭内のいさかいが増えるのでは本末転倒です。お子さんのストレスが強くて世話が十分にできない時期があっても、誰かが支えていくという心構えを持っておきましょう。
家族の中にアレルギー疾患を持つ方がいる場合、動物アレルギーが出ることがあります。飼い始めてから体調を悪くして飼えなくなると、かえって悲しいことになってしまいます。アレルギー体質がある方は飼える生き物について担当医等に相談してみてください。
ペットを飼うと手間は増えます。忙しい子育ての中で飼うのは大変かもしれませんが、動物に癒やされて、情緒が安定するということは本当によく経験します。お子さんが動物を飼いたいと言う場合は、検討してみてはいかがでしょうか。