「塩尻ワイン大学」アンバサダー活動開始 地元ワインのPR担う

塩尻市がワイナリー開業支援を目的に、2014年に開講した「塩尻ワイン大学」。3期目を迎え、新たに開講した「塩尻アンバサダー養成コース」受講生が、地元ワインのPRなどを始めた。
塩尻のアンバサダー(大使)として、地域文化の発掘やPRを担うパートナーを目指し、県内外の14人が受講中。経営コンサルタントや自営業、商社勤務など幅広い業種から集まり、ワイン関係の資格を持つ人もいる。
これまで醸造家の育成に力を入れてきた同大学。行政がアンバサダーを養成するのも珍しく、活動が軌道に乗ればワインの醸造とPRの両輪で発展が期待できそうだ。現場を訪ねた。

情報発信できる人材養成

塩尻市下西条の農事組合法人「霧訪山(きりとうやま)シードル」に7月16日、塩尻ワイン大学3期生アンバサダー養成コースの受講生が、見学に訪れた。同法人代表でワイン大学1期生の徳永博幸さん(60)が畑を案内し、醸造所でワインとシードルについて説明。ワイン大学を受講し醸造所を開くまでの経緯なども伝えた。
受講生は、栽培しているリンゴの品種がシードルの味にどう影響するかや、できたワインをどんな人に飲んでほしいかなど、さまざまな質問を投げかけた。
栽培、醸造をほぼ1人で手がけ、情報発信まで手が回らないという徳永さん。「ワイン大学生ならではの視点で、いろいろな人に情報を届けてもらえたらありがたい」とアンバサダーに期待を寄せる。
3期生は2022、23年度の2年間、毎月1回、土日曜に受講。1年目は座学と実習で学び、2年目はワイン生産者や地域産業従事者と交流し、理解を深めるフィールドワークが中心だ。
活動の第1弾となった塩尻ワイナリーフェスタ(5月)では、ワイン大学卒業生のワイナリーなどを紹介するA4判の「SUW PRESS」を3千枚制作し配布した。来場者への対面アンケートも実施、集まった475人の意見を市に伝えた。

塩尻ワイン大学は1、2期で計46人が学び、卒業後は18人が新たに農地を借り、6人が小規模ワイナリーを設立するなど成果を上げた。一方で、ブランディングや販路開拓など、難しい経営課題を抱える新規ワイナリーもある。そこで、3期はアンバサダー養成コースを新設した。
松本市出身で商社勤務の和田美枝子さん(東京都)は、仕事で欧米に行きワイン醸造に関心を持ち、県のワイン生産アカデミーなどを受講。生産者よりもPR側になりたいと意識が変わり、アンバサダー養成コースに。
「ワイン大学でさまざまな知識やアイデアのある人とつながることができた。ワインを通して生まれ育った松本、塩尻と海外の人やビジネスをつなぐことをライフワークにしたい」と、起業を目指している。
マーケティングコンサルタントの菊川厚さん(56、同)は数年前、日本ワインのおいしさに感動し、情報を探すうちに塩尻ワイン大学を知った。
ワインの世界でマーケティングの知識を生かせないか-と受講。塩尻市でのワイン造りと地方副業で、地方暮らしを促進する民間企業のプロジェクトに、スタッフとして関わるようになった。
「約2年間、塩尻の関係人口になっているので思い入れもある。アンバサダーとして役に立ちたい」という。
3期は来年3月で終了。初のアンバサダー誕生について市農林課は、「ワイン関係のイベント企画運営やフェスタの手伝い、情報発信など活躍の場を考えたい」。栽培・醸造人材の育成と共に、今後の方向性を検討していきたいとしている。