
「思いを1つに子どもと地域が笑顔になるために」。朝日村がそんなスローガンを掲げた子ども食堂イベント「朝日村カレー大作戦」が、7月15日から始まった。食を通じて子どもと保護者、地域のつながりを深め「みんなで子育てを応援し、子どもを見守る地域づくりをしていこう」と、村内の飲食店や個人・団体が力を合わせる。
古見集落センターで開かれた初回には、親子連れを中心に大勢が訪れ、次々に弁当容器に入ったカレーを受け取った。持ち帰る人、会場でゆっくり味わう人、地域の人との交流を楽しむ人…。会場はスローガンの通り笑顔であふれ、準備した100食が5分で終了するほど盛況だった。来年3月まで毎月開き、手作りカレーを届けていく。
大人も子どもも集い大盛況
朝日村で始まった「カレー大作戦」。同村での子ども食堂の開催は初めてだが、村教育委員会の百瀬司郎教育長は「以前から開きたいと考えていた」という。
また、村社会福祉協議会職員の百瀬哲弥さんは、昨年参加した研修会で、伊那市社協が店舗やキッチンカー、多くのボランティアの協力を得ながら、市内全域で開いている「伊那市カレー大作戦」を知り、「朝日村でも開きたい」と連絡を取って、ノウハウなどを教わってきた。
両者の思いが重なり、教育委員会が主催を、社協が実務を担当することに。開催に向けて地域の人に協力を呼びかけたところ、4店舗と6団体が賛同。初回を担った「コミコミみんなの食堂」(二茅〈にがや〉富子代表、8人)は、今回の呼びかけをきっかけに発足した団体だ。
子どもから高齢者まで、地元の人が気軽に来られるようにと各地の公民館や集落センターで3月までに全10回開き、各店舗や団体が交代でカレーを作る。
古見集落センターで開いた初回には、米や野菜、果物などの寄付も多く、急きょスープも作るほど。NPO法人ホットライン信州(松本市)や広域フードパントリー「むすびや」(長野市)もブースを設け、食品などを配ったり、綿あめやくじ引きのコーナーを作ったりしてにぎわいに花を添えた。
「コミコミー」メンバー以外のボランティアも多く参加して、次々に訪れる人たちへの配食などを手伝った。手順などに不慣れなこともあり、スプーンを付け忘れるハプニングもあったが、皆うれしそうにカレーを受け取っていた。
参加した舞原早織さん(36、古見)は、おいしそうにカレーを頰張る昂成(こうせい)君(6)となつちゃん(4)を「友達とも会えて、大勢の人がいる中でご飯を食べられるのがうれしそう」と笑顔で見守っていた。
二茅さんは「昨夜は不安で眠れなかったけれど、大勢来てくれてうれしい。やり方も分かったので、今後は自分たちでも独自に活動できるかな」とにっこり。百瀬哲弥さんは「大盛況でうれしく、続けていきたい。米や野菜などの善意がたくさん届くのも朝日村ならでは。多くの人に子ども食堂の波を感じてもらい、つながりを深めていく機会になれば」と話していた。