豊科の伊藤さん考案 折り紙フィギュア

折り紙は世代超え交流できる

折り紙フィギュアって何?折り紙と似顔絵を融合させ、プラスチック板などに立たせた作品だ。折り紙を得意とする伊藤侑祐さん(34、安曇野市豊科)が考案した。似顔絵も、もちろん自作だ。
幼稚園時代に折り紙の面白さにはまった。離れた時期もあったが、大学で再び向き合う。卒論のテーマに折り紙を選び、学会賞を取ったこともある。
2018年、出身地の愛知県豊橋市から安曇野市へ移住。イベントで折り紙の技術を使い、人を作ってみたところ好評で、折り紙フィギュアに取り組むことに。漫画のキャラクター、家族、知人─。紙で夢を折り続ける。

リアルさを追求 10年かけて形に

漫画「ONEPIECE」のルフィ、ウタ、キッド、シンガー・ソングライターのアヴリル・ラヴィーンさん、俳優の田中邦衛さん、そして家族や親戚、近所の人─など、いろいろな人が折り紙フィギュアの題材になる。飲食店に勤務しながら、作品を作るのは伊藤侑祐さんだ。
写真や絵を参考に、アルコールマーカーで顔を描き、タント紙で体や洋服を作る。巻き髪のくるくる感、マントが風になびく様なども、折り紙の技術を使い表現する。折り紙と絵という、伊藤さんの特技を融合させた作品だ。
愛知県豊橋市で暮らしていた幼稚園の頃、母と一緒に猫を折った。絵が好きだったこともあり、猫の顔を描いたことが、折り紙を追求するきっかけとなった。大学受験もあり、高校時代は離れた。愛知大時代、米国人講師に、同国の物理学者で世界的な折り紙作家・ロバート・ラングさんの作品を見せてもらい、再び没頭した。卒論は折り紙の「連鶴」をテーマに選び、学会賞を受賞した。
卒業後、名古屋市の会社でCADオペレーターをする傍ら、友人と地元でボランティアユニット「ヌーヴェル・ヴァントーズ」を結成。ボランティアイベントでワークショップを開くなどし、地域の人と触れ合った。最初は複雑な動物、昆虫などを折っていたが、「人を折ってみたい」と作ってみたところ、反応がいい。「この線でいこう!」。折り紙フィギュアの核になった。
最初はシンプルだったが、手に親指を付けるなど、よりリアルさを追求するように。プラスチックの板に張り付け、自立できるようにするなど、「現在の形にするまで10年ほどかかった」。今ブームのアクスタ(アクリルスタンド)の紙版、折りスタ(折り紙スタンド)ともいえそうだ。

ジオラマ作りなど広がり続ける夢

18年に安曇野市に移住してからも、制作活動を続けている。今年から市ボランティア連絡協議会豊科支部に所属。イベントで作品を展示したり、ワークショップを開いたりし、地域の人と交流している。
「折り紙は、世代を超えて交流できる。平面から立体ができるのもすごい」と伊藤さん。折る、作る、創造する─など、魅力は多いという。折り紙でジオラマを作ったり、昆虫や動物などのオリジナル作品を考案したりと、やりたいことは多い。集大成としてオリジナル作品と、その折り方を盛り込んだ本も出版したいという。「日々研さん」と伊藤さん。折り紙への情熱は高まる一方だ。