塩尻西部中有志5人 開校60周年記念ラジオ番組制作

大好きなラジオ もっと好きに

塩尻市の塩尻西部中学校(宗賀)の生徒有志5人が、夏休みを利用して同校の開校60周年を記念したラジオ番組を作った。25日から地元のコミュニティー放送局「高ボッチ高原FM」で放送される。
学校の運営や支援に携わる地域の人たちでつくる「コミュニティ・スクール」の関係者が企画。1年生4人と3年生1人が名乗りを上げた。
13の地元企業・団体が活動に賛同し、協賛に。生徒たちは、学校の歴史などを紹介する番組本編と、協賛企業のCMを作った。
5人ともラジオ番組制作は初めて。それぞれ違った思いを抱きながら挑戦し、チームワークを築く中で約1時間の番組に仕上げた。
番組作りを通じてさまざまな学びをする生徒たちの姿を追った。

番組制作は6日間。最初の4日間は塩尻西部中に機材を持ち込み、番組名「塩尻西部中学校60周年!大先輩と振り返る今昔物語」のタイトルコールや学校紹介などの文章を考え、収録した。併せて13社・団体の企業CMの内容を手分けして考え、5日目にスタジオ収録。1週間後、修正箇所を録り直した。

卒業生と対話し「60年」を感じる

制作初日は7月24日。生徒有志5人は、1963(昭和38)年度卒業生、松原範雄さん(74)と丸山保さん(75)の話を聞いた。
「プールがなかったので水泳の授業は奈良井川。学校に戻る時、校庭に必要な砂を川から持ち帰って、校庭にまいたんだ」。60年前の卒業生が語る学校生活の様子に耳を傾け、感じたことを用紙に書き出していく。
「俺らの頃、先生は怖い存在だった。今はどう?」と松原さんたちが問うと、「先生は面白くて楽しい存在です」と生徒たち。両者の対話から、60年という時の流れと変化が浮かび上がった。
制作3日目の26日は協賛社のCM作り。中野遥斗君(13)は喫茶店「木いちご」のオーナー、山本栄次さん(74)に話を聞き、CM原稿をまとめた。
文章を書くのが好きな中野君が手がけるCMは、4社。会社の魅力を探り、伝えるべき事柄を絞り、20秒か40秒にまとめる作業だ。「伝え方にこだわった。企業の方に喜んでもらえたらいいけれど」
30日は高ボッチ高原FM(大門三番町)に生徒が集い、収録だ。マイクに向かう5人の声は生き生きとしていた。
話すことが苦手という藤原栞さん(12)にとって、今回は自分の殻を破る大きな挑戦。「みんなと親しくなって、心も声もほぐれていった。自信になったし、仲間のありがたさを知った」
話すことが大好きで、ラジオパーソナリティーに憧れる日野紅音(あかね)さん(12)は「チャンス到来」と迷わず応募。「助言を受けて声の表情がどんどん変わっていった。伝えることの難しさと楽しさを知った」
日頃から高ボッチ高原FMに曲をリクエストするという北沢知夏子さん(13)は「番組の作り手の視点を知ったことで、大好きなラジオがもっと好きになった」と声が弾む。

地域の協賛社の魅力も伝えたい

企画者は、学校運営協議会会長で高ボッチ高原FMパーソナリティーの池内典江さん(62)。企画開始から約10日間で協賛社が集まり、生徒たちを応援する地域の強い思いを感じている。
3年生で唯一参加の吉田武紗士(むさし)君(14)は「学校のことと同じくらい、協賛社のことを知ってほしい」ときっぱり。池内さんは「将来、彼らが世に出て社会に貢献しようと考えたとき、この街や、この街で働く人たちの顔が浮かんでくれたらうれしい」と話した。

【番組放送日程】
(高ボッチ高原FM89.4MHz)
8月25日19時
8月29日20時
9月3日14時
9月12日20時
9月19日9時
9月24日13時
9月29日19時