碌山美術館で高村光太郎展

安曇野市穂高の碌山美術館は9月10日まで、「高村光太郎展」を開いている。敷地内の第二展示棟に、彫刻家で詩人だった高村光太郎(1883~1956年)の彫刻と詩の直筆原稿、詩集を展示。杜江(もりえ)館には、光太郎が「紙絵」と名付けた妻・智恵子(1886~1938年)の作品を展示している。
光太郎は東京生まれ。美術学校在学中に詩歌の文芸誌「明星」に詩を寄稿し、その後ニューヨークで彫刻の腕を磨いた。ロンドンやパリにも滞在し、留学中の彫刻家・荻原碌山(本名・守衛(もりえ)、1879~1910年)と親交を深めた。
会場には「手」「裸婦座像」など10点が並ぶ。詩の直筆原稿4点の中には、「荻原守衛」と題するものも。碌山帰国後の新宿角筈(東京)のアトリエの様子を織り込み、「そこには子ども時代の世界観があった」という趣旨の言葉を記している。
会場を訪れた同館友の会会員の山下利昭さんは「光太郎と碌山は『ものづくり』への相互理解ができていたように思える」。同館学芸員の濱田卓二さんは「光太郎は、彫刻と詩の両方を手がけることで、彫刻に文学的要素が加わり、詩を書くにあたっては、物事を立体的に見ることができたのでは」と話す。
智恵子の紙絵は「ガラス器」「シクラメン」など5点を展示している。
午前9時~午後5時10分。一般900円、高校生300円、小中学生150円。同館TEL0263・82・2094