
地域を一つの家に見立てれば、特色のある地域づくりができるのではー。長岡造形大(新潟県長岡市)大学院で建築・環境デザインを学ぶ原田旺輔さん(22)は、出身地である松本市波田の波田公民館2階ギャラリーで「地域がひとつの家だとしたら」をテーマに研究成果を展示中だ。最終日の10日は、波田の未来につなげるワークショップも行う。
原田さんは、目立った観光地のない地方では、地域の空気感や独自性を考えずに開発が進み、魅力が薄れがちと感じてきた。「地域らしさ」を可視化して地域づくりなどに活用できないかと考え、故郷の波田を対象に、昨年度の大学卒業研究のテーマにした。
波田地区在住の人にアンケートを実施。波田を一つの家と考え、「玄関=地域の出入り口」「居間=地域と人との関わりを感じる、よく活動するエリア」など、10の部屋がどの地区のイメージか尋ねた。
多くの人が「玄関」と考えたのは上高地線波田駅と三溝駅だった。結果を基に、国道158号は長い廊下、市役所支所から続く坂はステップごとに用途の違う部屋ーと、原田さんが家のパース(見取り図)に仕立てた。
今後、人々が地域に寄せる思いをくみ取って地域整備を進めたらーというのが、原田さんの考えだ。「玄関に花瓶を置くように、地域の玄関にはおもてなしの機能を、居間には人が集まる場所を増やすーなど、地域らしさを残した街づくりができるのでは」
展示場には付箋を置いてあり、「多くの人に思いを書いてもらい、好きな場所に貼ってほしい」と話す。
10日のワークショップは午後1時半~4時。「ひとつの家の住まい方」をテーマに、「この部屋(=地区)なら何ができるか」などを考える。原田さんは「地域外の人とも、地域づくりの進め方を一緒に考えたい」と呼びかけている。申し込みはこちらから。