
第70回「NHK杯全国高校放送コンテスト」(7月、東京)で、松本市内の2校が好成績を収めた。エクセランが「ラジオドキュメント部門」で準優勝し、松本深志が「テレビドキュメント部門」で3位に当たる優秀賞を受けた。
不登校への訴え体験基に一人で エクセラン高
エクセランの受賞作は、放送部の2年生・伊藤望(のぞみ)さん(17)が取材から編集、ナレーションまですべて1人で担当した「スタートライン」。
中学時代は不登校で、欠席率などの内申点が高校選びの壁になったという伊藤さんが、体験を基に同じ当事者や、不登校の生徒の進路指導に悩む教師、多様な高校入試を提案する塾講師、入試の合否判定に内申書を使わない仕組みづくりに携わった他県の関係者など、十数人にインタビューしてまとめた。
制作期間は約3カ月。コロナ禍で増加傾向の不登校についてのメッセージ性、高校受験や内申点などへの新しい切り口が評価されたという。伊藤さんは「こんなにうれしいことは初めてで、プロに認めてもらい自信が付いた。みんなが平等に未来を切り開ける入試であってほしい」と願う。

防災備蓄品巡る生徒の活動密着 松本深志高
松本深志は、共に3年で放送愛好会の元部長・菊池瑛美梨さん(17)と小川原有希さん(17)が手がけた「自分ごと」が受賞。
昨年、1学年上の先輩が、校内に生徒用の防災備蓄品がないと知って学校に呼びかけて備蓄を実現させ、他校でも同様の備えが必要と、県教委に提案した。その活動を密着取材し、空気感や表情、言葉をそのまま伝えるように編集したという。
行動する人の強さや熱量を間近で見て、「世の中の課題を自分事として捉えてほしい」との思いで制作したという。菊池さんは「とても大変だったが、根性や体力が付いた。妥協せずに全力で作ったものが良い結果になり、本当にうれしい」と話した。
同コンテストはアナウンスや朗読など6部門で行い、「ラジオ―」部門は全国から337作品、「テレビ―」部門は456作品が参加した。