
「地元で創作活動をしている、魅力ある人たちがつながる場をつくりたい」。松本市波田に7月、古着&カフェバーの店「Little Bridge(リトルブリッジ)」がオープンした。オーナーの小橋拓未さん(31)は長野県が大好き。県内を盛り上げたいと奮闘する。
店に入ると、個性的な絵やおしゃれな家具が目に入る。流れるBGMは地元アーティストの曲。県内で活動する作家やデザイナーらの作品が、店内に彩りを添える。
小橋さんは「自分の身近な場所に、頑張って活動する人たちがたくさんいる。応援したいし、彼らが世に出るきっかけになれば」と、つながりのある人たちの作品を選んで展示。イベントを定期的に開いている。
古着&カフェバーLittle Bridge(リトルブリッジ)松本市
小橋拓未さんは中野市豊田出身。妻のもずくさんとの結婚を機に松本市に移住した。県内をドライブすることが好きで、「その土地でしか見られない、好きな景色がたくさんあるんです」と力を込める。
出身地も好きな場所の一つだが、豊田地区は年々人口が減り、過疎化が進む。現状を何とかしたい。地域に活気をもたらすには何が必要か─。
たどり着いたのが、飲食ができて創作する人たちが談笑できる場をつくることだった。「すてきな人たちがつながれば、どんどん魅力が大きくなる」。いずれは中野市豊田を含め、県内各地に店を構える未来を思い浮かべる。
夫婦の「好き」を詰め込んだ店に
高校時代のアルバイトで食品の仕事に携わり、食の楽しさや料理人のかっこよさに憧れた。漠然と「いつか料理人になり、飲食店を開きたい」と考えるようになった。高校卒業後は、食品関係の会社に勤めながら、イタリア料理店や和食店で働き、料理の腕を磨き続けた。
一方、もずくさんは大の古着好き。2人で2018年から、無店舗で古着の通信販売を始めた。思いの外、売り上げが伸び、手応えを感じた。
「2人の好きを詰め込んだ店を作りたい」と会社員を辞め、21年から本格的に店を構える準備を進めた。松本市波田に昨年6月、古着店として「Little Bridge」を開店。今年7月に改修、増築を行い、小橋さん念願の飲食ができる場を備えた、古着&カフェバーの店として改めて開業した。
店を地域に活気を生み出す場としていくには、地元の人たちに知ってもらう必要がある。昨年12月、クリスマスイベントとしてビンゴゲームやファッションショーなどを開き、親睦を深めた。節分には5メートル超えの恵方巻きを作り、みんなで食べた。
ヒップホップやジャズなどのアーティストのミニライブを催すこともある。増築した建物には、県内のデザイナー4人に外観のデザインを依頼、ペイントしてもらった。地域の人たちから「ここに来ると元気になる」という声も聞かれ始めた。
アメリカ古着や手作りの料理を
古着は、アメリカ古着がメインで、メンズ・レディースを問わず、夫婦で国内の卸業者に出向き一着一着選ぶ。知人が立ち上げた洋服ブランドの服も置いている。一方、カフェバーで出す料理は、全て小橋さんの手作り。田舎風パテやカルパッチョなどのおつまみ、プリンや焼き菓子などで、磨いた腕を存分に振るう。
「自分の好きなことに熱い人たちが大好き。この店で過ごす時間が新たなつながりを生み、支援者の増加や認知の広がりにつながれば。大好きな長野県全体の活性化につなげたい」と夢は大きい。