
池田町の中心部、池田2丁目。県道大町明科線近くに3棟の蔵がある。持ち主は平林啓記(よしき)さん(65、東京都)で、いずれも明治時代中期~末期に建てられた。その蔵をイベント会場として生かし後世に残そうと、約30年前から活動を続ける男女7人のグループ「古久庄蔵部(こくしょうくらぶ)」の現状を聞いた。
「古久庄」は平林家の屋号。製糸業を営んだ頃に建てた「繭蔵」と、酒造業時代の銘柄にちなむ「男山蔵」。「座敷蔵」を加えた総称が「古久庄蔵」だ。イベントは主に「男山蔵」で開く。
「蔵部」は1990年、建築士の小林正芳さん(73、会染)が中心となって始めた。当時は啓記さんの母(故人)が敷地内に住んでいて、「文化的なことに使ってくれるなら」と使用を快諾。美術展や映画上映、コンサートなどを重ねた。
活動は2度ほど中断したが、今春、ジャズライブをメインに再開。8月にはライブの日に蔵部メンバーが庭で生ビールなどを販売し、維持費ねん出のための募金箱も置いた。
小林さんは「活動を続けたいが、メンバーも70代が多くなり、さまざまな面で昔のようにはいかなくなった。若い人が入ってくれるといいが」と苦笑する。所有者の平林さんも「有効利用してもらえればうれしい半面、維持管理が大変。頻繁に帰郷し手を入れているが、1人では難しい」と言う。
8月のイベント時に募金をした金森光子さん(池田)は「3年前に移住してきたが、こんなにいい蔵があることは知らなかった。少しでもお手伝いができれば」と話した。
今後は、10月7日午後3時から、中信地域で活躍する「あづみ野ジャズプロジェクト」(関克久代表)のライブがある。同15日午後2時半からは、蔵部が長野市のフルート奏者、坂口実優(みゆ)さんのリサイタルを開く。
蔵部入会や、会場などの問い合わせは小林さんTEL090・8773・0888