作り手と愛好者が交流「アルプスアウトドアサミット」

アウトドアや登山用品を展示販売し、メーカーの作り手と愛好者が交流する初のイベント「アルプスアウトドアサミット」が、10月6~8日、松本市のやまびこドームで開かれる。業界の活性化と、北アルプスの玄関口・松本の魅力を世界に発信することが狙いだ。
「松本がアウトドアの聖地になるといい」と、企画の中心となるCMプロデューサーの村田淳一さん(56)。16年間休業していた北アルプス乗鞍岳の山小屋「冷泉(れいせん)小屋」を、昨年引き継いだ。現在、松本と東京の2拠点生活をしながら、山小屋やアウトドア業界の未来を考える。
趣味でカヌーや登山を楽しみ、国内外を訪れてきた村田さん。催しをきっかけに、アウトドア文化を松本で盛り上げたいと願う。
118社が出展する他にはないもの
信州の山で使い勝手を検証しながら開発されたテント、世界各国を歩いた作り手が考案したザック…。松本市のやまびこドームで開く「アルプスアウトドアサミット」(一般社団法人「アルプスアウトドアサミット」主催、信濃毎日新聞社共催)に出展する118社は、“他にはないもの”にこだわった品を手がける。
各社の展示販売のほかトークショーを開催。海外や日本のブランド創設者や企画開発者など、2日間で計13人が、製品作りへの思いやアウトドアの魅力を話す。
ドームの外周エリアでは、落ち葉アートやたき火などのワークショップブースと、キッチンカーなどが並ぶ。主催する法人の代表理事、村田淳一さんは「もの作りに思いを持っている人がたくさん来る。直接話をしながら手に取ってもらえたら」と話す。
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東京都出身の村田さんは、国内外でカヌーなどを楽しみ、両親が15年ほど前に安曇野市に移住したのをきっかけに、本格的に登山を開始。「いつか山に関係する仕事をしたい」と思うようになった。
5年ほど前、松本で映像の仕事をした際、冷泉小屋を知った。創業90年近い山小屋だったが、2003年に始まった県道乗鞍岳線のマイカー規制で集客できなくなり閉業していた。前オーナーが継承を強く願う思いに触れ、数年後に決心。クラウドファンディングで資金を募り、改装して昨年、再開した。
メーカーの作り手とも出会い、アウトドア業界の現状を知った。コロナ下で高まったアウトドアブームが落ち着き、業界の活性化が求められていた。メーカーと使い手が、アウトドアの将来について考える催しが必要では|と考案。一般社団法人を設立した。
同法人理事の百瀬方洋さん(33)は「催しを通じ、さまざまな人の出会いと刺激の場になることで、街づくりにもつながれば」。仲間と共に準備を進めた。
村田さんによると、アウトドアイベントは大都市での開催が多く、地方開催は珍しいという。松本が、もの作りに理解の深い“クラフトの街”であること、北アルプスの玄関口であることに意味があるとする。今後も継続し、地域活性化やインバウンド誘致、環境保全啓発につなげたい考えだ。
「将来は、アウトドアをキーワードに食や音楽、映画など、文化的なものも含め街全体で盛り上がり、乗鞍全体や上高地にも広がりながら、松本が『アウトドアの聖地』と呼ばれることを目指したい」と村田さん。
6日は業者関係者対象で7、8日が一般公開。午前10時~午後5時。ドームへの入場券は1日券が前売り1500円(当日300円増)、2日券は2500円(当日400円増)。小学生以下と松本・塩尻市民は無料(運転免許証などの提示が必要)。内容の詳細や問い合わせはイベントの=公式ホームページ=へ。
(井出)