牛ふんを釉薬に使用―東京芸大出身の美術家・鈴木さん

東京芸術大出身の現代美術家、鈴木希果(きか)さん(25、茨城県取手市)は今夏、安曇野市で牛ふんを釉薬(ゆうやく)に使うなどした陶芸作品づくりに取り組んだ。豊科北中学校特別支援学級の生徒を対象に、自身と同じ材料で作陶するワークショップ(WS=体験型講習会)も開催。7~19日に市穂高交流学習センターみらいで開かれる作品展で、成果を披露する。
同市に滞在し、市民と交流しながら制作する市と東京芸大などとの連携事業「安曇野アーティスト・イン・レジデンス」の一環。今回は、いずれも同大大学院を修了した鈴木さんと、木工の臼井仁美さん(東京都)、ガラス工芸の及川春菜さん(同)の3人が訪れた。
鈴木さんは美術研究科の院生として取手キャンパスに通い、修了後も同地で制作を続ける。表現方法の主は陶芸。「自然のものが、違う物体になっていくプロセスに関心がある」と言う。
安曇野市には7~9月、何回か滞在。8月には、南安曇農業高校で、牛ふんや厩舎(きゅうしゃ)の土などを採取し、その土を混ぜた粘土で作品を作った。
豊科北中特別支援学級のWSは、同月末から4回開催。厩舎の土と粘土を混ぜる作業、成形を経て、3回目に鈴木さんが1300度近くで焼いて炭化させた牛ふんを入れた釉薬を作り、塗った。4回目の窯出し後、生徒たちは「面白い味わい」と喜んだ。
2年生の小川翔さんは「過去に体験した陶芸と土の感触が違ったが、面白かった」、鈴木さんは「ふんといえども、1300度近くで焼くので、食器としても使える」。
作品展には「安曇野─」参加の3人の作品が並ぶ。鈴木さんは明科地区の農家から譲り受けた羊のふん入りの半立体作品なども展示する。午前9時~午後8時(土・日曜、祝日は6時)。みらいTEL0263・81・3111