青春象徴する場所「パルコ」で蟻ケ崎高43回生が同期会

思い出の地で大人の文化祭を

高校時代の憧れで青春の象徴「松本パルコ」で同期会を開きたい―。その思いを形にしようと頑張る人たちがいる。松本蟻ケ崎高校の43回生(1991年卒)の実行委員のメンバーだ。
同期会はコロナ禍で2年延期になったが、今年の「5類移行」で開くことに。そんな時流れてきたのが、松本パルコ閉店のニュースだ。ホテル開催よりも「手作り感のある会にしたい」と委員たちは考えていた。「パルコでやっちゃう?」と発した一言に、みんなが賛同した。
パルコ側も、地元と関わることがしたいと快諾。6階催事スペースを会場にする。設営など準備は多いが、「大人のぎんが祭」を合言葉に、青春に戻って楽しめる場をつくろうと張り切っている。

閉店の知らせに感謝も込め要望

22日午後1時から始まる松本蟻ケ崎高校43回生の卒業30年記念同期会の会場は、松本パルコ6階のイベントスペース。「大人のぎんが祭(同校の文化祭)」をイメージしているといい、テーマは「LOVE ARICO(アリコ)」に。パルコのCMのコピー「LOVE PARCO」にちなんでいる。
6階の一部を除く約500平方メートルを会場に使う。マネキンを借りて、当時の運動着や、はやっていたファッションを着せて飾る計画だ。思い出の写真も展示。同校の現在の様子を知りたいと、放送部が以前作成した動画を加工し、当日上映することも予定している。
実行委員は浅井弘道委員長(50、安曇野市三郷明盛)、春日朋子さん(51、塩尻市大門七番町)、中嶋玲子さん(50、安曇野市豊科南穂高)、中條紀子さん(51、松本市沢村3)ら23人。松本パルコ閉店のニュースを知り、「卒業30年の節目の同期会は1度きり。次やろうと思っても、閉店してしまう。誰もやったことがない同期会を開いてみたい」という思いが、メンバーに湧き上がった。
登下校時に公園通りを通ったり、同通りが遊び場だったり。「パルコで洋服を買いたくてアルバイトしてお金をためた」「無印良品に行きたかった」など、同店の思い出は尽きない。何より「『松本にはパルコがあるんだ』というのが郷土自慢であり、ステータスでもあった」と話す人もいる。
そんな気持ちと感謝を込め、開催を許可してもらおうと5月、熱いラブレター(メール)を同店に送った。同店の佐藤崇課長(53)は「2025年の閉店を前に、地域の人に楽しんでもらえれば」と快諾。「パルコでの同期会の開催は、松本店だけでなく、他店でも例がないのではないか」とする。

前例のない企画手作り感楽しく

イベントスペースは、宴会を開くようにはできていない。「テーブルや椅子はどうしようか」「料理はどこに発注しよう」「進行はどうする」。前例がないだけに、ゼロから企画しなくてはいけない。同校同窓会館で打ち合わせをしたり、松本パルコに相談したり。やることは多いが、実行委メンバーはとても楽しそうで、高校の文化祭の準備をしているようだ。まさに大人のぎんが祭!
青春時代を彩った松本パルコ。「会場に入ったら、高校時代にタイムスリップできる交流を目指したい」と浅井実行委員長。同店では、他にも地域と連携できるイベントを開きたい考えがあり、「同期会開催をきっかけに、地域の人にいろいろな利用ができることを伝えられたら」と期待する。