
近年、新入社員の3人に1人が3年以内に離職するという。こうした現状を変えようと、高校生と地元企業を結ぶ会社「つなぐ」(岡谷市)と、ポジティブ心理学を実践する「MY SEASONS」(松本市神田)が手を結び、研修「心と体の筋トレ塾」を6月から開いている。
企業の枠を取っ払い、同じ境遇の仲間がいることを知って、悩みを共有したり、心から楽しんだり。人と関わることで自分を知り、若者にチーム力や自信を付けてもらう。
地域を知り愛着を育もうと、地元をテーマにしたスイーツを、受講生が飲食店の支援を受けながら開発。22日に信州まつもと空港で販売会を開く。開発は「考える」「仲間と協力する」作業で、研修の実践の一つという。
自他認め完成させたスイーツ
「心と体の筋トレ塾」で、受講生たちが開発したスイーツは「スノーボール~信州彩玉(いろだま)」。赤、白、緑、黒の4色ある。赤はビーツで色をつけ、ラズベリーで味付けし、諏訪湖の花火や信州産の果実を表現。白銀の雪をイメージした白は塩こうじとバターを使った。桑の葉で色をつけた緑は、ピスタチオの味で信州の自然を、炭で色をつけ七味を使った黒はピリ辛で、松本城を表している。4個入りの袋が1箱に4袋入って1600円。22日に信州まつもと空港で開く販売会で、県外へ向けてアピールする。
つなぐのCOO(最高執行責任者)赤羽正城さん(51)とMY SEASONS代表の坂本あゆこさん(52)は、若者の早期離職率が高いことを危惧。仕事に定着しよりよく生きるサポートとして、何かできることはないかと模索し、研修「心と体の筋トレ塾」を開くことにした。
全8回で、会社の枠にとらわれず、さまざまな企業から参加する。現在、受講しているのは9人。松本、塩尻、岡谷市の製造業に勤める男性4人、女性5人で、高卒、短大卒、大卒の19~25歳だ。
塾で行う事は、チームに分かれて輪投げ対戦やジェスチャーゲームをする、自分の強みを知って仕事やプライベートでの生かし方を考える、悩みを共有する、自分の考え方の癖を知る|などだ。
自分を知り、大切にすることで人に興味が持てる、自分をコントロールでき、幸せの感じ方が変わる|といった効果を期待する。最終的には自社でどのような社員になりたいかを明確にし、社長や直属上司に発表する場を設ける。
商品開発は、共同作業を通し自分の良さを発揮、グループの中でどんな役割を担えるかを、コミュニケーションを取りながら認識していくのにうってつけだ。地域を知り、その魅力を表現する手段にもなる。地元愛が育まれ、企業に定着する動機づけになる。
赤羽さんらが最初にスノーボールというアイデアを投げかけた。受講生が話し合いを重ね、レストラン「マンマ・ミーア」の菓子部門「ペパン」パティシエ、冨田琴美さん(43)の協力を得て完成した。
カメラや光学製品などの製造の東陽(塩尻市広丘郷原)に勤務する百瀬賢吾さん(22)は「コミュニケーションが苦手だったが、研修を通して相手のいいところを見つけ、関わりやすくなった。仲間といい関係が築けたのでは。信州彩玉開発に携わったことは誇らしいし、自信にもなった」などと話した。
自分を知り、相手を認め、意見を出し合いながら完成した「スノーボール~信州彩玉」。信州の魅力だけでなく、9人の思いもぎゅっと詰まっている。
22日の販売は午前10時~午後3時。問い合わせはつなぐTEL070・3160・9629