全日本吹奏楽コンクール 鎌田中・梓川中 全国の舞台へ

支えてくれた人に感謝込めて

松本市の鎌田、梓川の両中学校の吹奏楽部が21日、名古屋市で開かれる「第71回全日本吹奏楽コンクール中学校の部」(全日本吹奏楽連盟など主催)に出場する。鎌田は3年連続9度目、梓川は初の大舞台だ。
中学校の部が1956(昭和31)年に始まった国内最大のコンクールに、本年度は合同を含む6413校・チームが参加し、全国大会のステージに立てるのは30校。3枠しかない東海地区の代表の、二つを松本市の学校が占めた。20年ぶりの快挙で「楽都」の面目躍如だ。
両校の部員らは支え応援してくれた人たちに感謝し、最高の演奏がしたいと、気持ちを高めている。

目標に向け全員が心一つに
【3年連続9度目・鎌田中】

鎌田中(55人、顧問・塚田理恵教諭)は、5県の20校・チームが競った予選の東海大会(8月)で、3年連続で最高賞を獲得した。3年生の小澤怜奈部長(15)は「チーム力を高めてきた」と、学年を超えて続く強さに胸を張る。
部の目標「人の心に響いて残る音楽」を目指し、部員全員が心を一つにして練習してきた。休日は個人が練習した音色を録音し、塚田教諭に指導を受けるなどしたという。
全国大会では、課題曲で天野正道さん作曲の「レトロ」、自由曲はF・チェザリーニさん作曲の交響曲第1番「アークエンジェルズ」を奏でる。
「大天使」を意味する自由曲は、曲中にグレゴリオ聖歌の旋律を取り込んだ壮大な曲。高校生レベルの難曲で、ティンパニの重厚な響きで始まり、金管や木管楽器の穏やかなメロディーが交錯。それらの楽器によるソロの旋律の美しさも聴きどころだ。
大舞台を前に3年生の古屋彩音副部長(14)は「今までやってきたことを出しきりたい。他校の演奏も聴けるので、後輩たちが来年、その経験を生かせれば」。
小澤部長は「3年連続出場する学校として、いい演奏をしたい。このメンバーでは最後の舞台。応援してくれた人たちへの感謝も込めて、悔いの残らない演奏をし、笑顔で締めくくりたい」と話す。

大舞台へのバトン引き継ぐ
【初出場・梓川中】

梓川中(58人、顧問・妹尾圭子教諭)は、学校に記録が残る1999年から2017年までは県大会止まりの成績だった。以前に筑摩野中と鎌田中を全国に導いた妹尾教諭が赴任した18年、初めて東海大会に駒を進め、コロナ禍でコンクールが中止になった20年も、ユーチューブに演奏を投稿するなど活発に活動。大舞台を目指して腕を磨き続けた先輩たちから、現部員にバトンがつながった。
出場30校のトップバッターで演奏するのは、課題曲が宮下秀樹さん作曲の「ポロネーズとアリア~吹奏楽のために~」、自由曲は福島弘和さん作曲のシンフォニエッタ第1番「大地の詩」。
自由曲は、聴き手が目を閉じれば広大な大地が想像できる雄大な曲調の中に、複数の木管楽器によるソロのつながりや、後半部分の低音パートの力強いサウンドなど聞きどころが満載。今回、作曲者の福島さんに特別に依頼した、ハープのソロにも注目だ。
練習では、複雑なリズムに拍と同じ数の単語を当てて口ずさんだり、奏者同士でしりとりをしてフレーズの受け渡しのイメージをつかむユニークな手法に取り組んだりした。
3年生の山寺文雨(あやめ)部長(14)は「たくさんの人の支えのおかげで全国大会に行けることを忘れず、皆さんに梓吹(アズスイ)サウンドを届けたい」と意気込む。