
松本市内で昭和期に撮影され、個人宅に眠っていた8ミリフィルムを編集した地域映画「まつもと日和」(三好大輔監督)が10日夜、中町・蔵シック館(中央2)の白壁をスクリーンにして屋外で上映された。寒空の下、防寒着に身を包んだ約40人が懐かしい映像に見入り、足を止める帰宅途中の人や外国人観光客もいた。
中町・蔵シック館地元住民ら鑑賞
映画は8ミリフィルムをデジタル化し、提供者のインタビューや市民による歌と音楽のBGMを交えて構成。松本城公園内にかつてあった児童遊園地や、美鈴湖のスケート場などが映し出されると、観客から「この遊具に乗った」「美鈴湖から帰りは歩いた」などの声が聞かれた。
上映会は同館を管理する住民組織「中町(蔵のある)まちづくり推進協議会」が主催。中町でカフェを営む武田健さん(59)が「中町のシンボルのなまこ壁としっくい壁に、未来を生きるヒントが詰まった『まつもと日和』を投映してみたい」と協議会へ持ちかけたのがきっかけ。地元住民にチラシを配って鑑賞を呼びかけた。
近所に住む齊藤公子さん(67)は「この時代を生きてきたんだと、記憶をよみがえらせてくれた」と喜んだ。協議会事務局長の佐々木一郎さん(67)は「先人たちの生活があって私たちがある。松本の町をしっかり維持していかないといけないと思った」。
同映画を屋外で上映したのは初めて。製作した市民団体「まつもとフィルムコモンズ」事務局の三好祐子さん(50)は「映画のおおらかさがより伝わった」と話した。同団体は2作目の製作に向け、8ミリフィルムと寄付金を募っている。