自閉特性があり対人面の不器用さがあると、学校で同世代のお友達ができにくく苦労することがあります。自閉スペクトラム症がある方のごく一部は、生涯他人に興味が薄く、本人は友達を必要としていないという方もいます。そういうタイプの方の場合は、周囲がやきもきして友達をつくることを押しつける必要はないと思います。
ですが、自閉特性があって対人面でうまくいかなくても、多くの子どもは仲良く遊べる友達がほしいと思っています。しかし、実際にはうまくいかないというのが切ないところです。特に小中学生の頃は、自閉特性のあるお子さんにとっては友達付き合いの難易度が高い時期です。たまたま気が合って遊べる友達に出会えたらすごくラッキーだけど、狭い教室の中ではそういう友達に出会えないこともあるでしょう。
その場合、学校の中で本人が孤立して不都合が起きないよう、例えば席替えやグループ替え、クラス替え時の配慮はお願いしましょう。また休み時間の過ごし方などもサポートが必要かもしれません。
興味・趣味が合うと友達になりやすいので、習い事や趣味サークルなど本人が興味ある・好きな活動の場に参加することで友達に出会えるかもしれません。この場合、必ずしも同世代でなく年が離れていても興味を共有できる人と語り合えるというのも良いものです。
高校生年代ごろになると本人が接する世界も広がり、インターネット・SNSなども使えるようになるので、自分と興味が共通する人に出会える機会が増えてきます。この頃には人付き合いのスキルが本人なりに上達してきて、ようやく対等な友達関係がつくれる可能性が広がってきます。
小中学校時期に、対人面で大きな傷付きを経験すると、人付き合いの抵抗感が強まります。子どもの時期は十二分に満足する友達関係がなかったとしても、人付き合いでひどい目に遭わないような支援は重要です。
【なないろキッズ】 #89 興味が合うと友達に
- 2023/10/26
- 小児科医・新美妙美のなないろキッズ