丸ノ内中3年生 カフェ開設と松本の魅力アンケート

“自信作”おいしいコーヒー好評

「私たちが入れたコーヒーを飲みながら、松本の魅力についてのアンケートにご協力ください」。こんな呼びかけをして松本市丸ノ内中学校の3年生18人が9月19日と今月5日、同市中心市街地で無料のカフェ「コーヒーテラス丸ノ内」を開いた。市民や観光客でにぎわい、回答もたくさん集まって、上々の成果を収めた。

先輩の成果 発展させよう

18人は総合的な学習の時間で「地域経済・飲食」を探究テーマに選んだ。前年度の3年生がガイドマップ「城下町カフェの巡り方」を作ったことに触発され、「先輩たちの学習成果を発展させよう」と結束。無料でコーヒーを振る舞うカフェの開設と、街の活性化に役立てる目的でアンケートをすることになった。
カフェの設営場所は、女鳥羽川に架かる幸橋の上。市と住民が松本城周辺の街づくり像をまとめた「三の丸エリアビジョン」を参考に、「人通りの多い縄手通り沿いがカフェを開くのに好適」と考えた。
9月の初回は約50杯、10月の2回目は約100杯分のコーヒーをポットに用意。夏場から学校で「おいしいコーヒーの入れ方」を研究してきた“自信作”だ。両日とも天候に恵まれ人通りが多かったこともあり、ポットはほどなく空になった。

集めた声を街づくりに

松本の魅力を尋ねるアンケートも「歩いて名所を回れる」(新潟県からの観光客)など、合わせて約80人の声を拾えた。「盛り上がったし、コーヒーもおいしいと評判だった」。引率の上條春城教諭(42)の指導で後片付けをする生徒たちに、達成感が漂った。
開催当日は順調だったが、準備段階では壁もあった。まず公共用地の使用許可手続き。総合学習は生徒の自主性を重んじるため、生徒自ら関係する行政機関へ書類申請をしようとした。だが中学生には難解過ぎて、カフェ開設の計画そのものが頓挫しかけた。
ここで、市お城まちなみ創造本部の職員が“助っ人”として協力。各機関の担当者への橋渡しをしてくれた。椅子やテーブルも10月7日に開館する市立博物館から借りることができた。
奮闘ぶりは前年度の3年生にも伝わった。学校に「ぼくらのマップに刺激を受けたなんて光栄」「素晴らしい試み。成功おめでとう」と感謝や賛辞が届いた。
いろいろな人の協力や励ましを得て、回答が集まったアンケート。結果を含めた活動の様子は11月6日、他の生徒や保護者らを前に校内で発表する。18人の一人、上條倉右(そうすけ)さんは「情報発信も学習課題の一つ。街づくりに生かしてもらえるよう、アンケート結果をしっかりまとめたい」と意気込んでいる。