
松本市の会社員で刀剣コレクターの佐藤肇祐(けいすけ)さん(49)は、和田峠一帯で、高島、松本両藩と水戸浪士「天狗(てんぐ)党」が激突した「和田峠の戦い」(1864年)から160年を迎える来年、天狗党幹部の刀を公開することにした。現時点で高森町歴史民俗資料館時の駅、下諏訪町立諏訪湖博物館・赤彦記念館での展示が決まっている。
披露する刀は、尊王攘夷(じょうい)を唱えた水戸藩天狗党の幹部、田中愿蔵(げんぞう)(1844~64年)が所持したとされるもので、南北朝時代の刀工・秋広の作。昨夏、刀剣オークションで手に入れた。
茎(なかご、柄の中に隠れた部分)に銘はないが、大正時代に鑑定を受け、その情報が「鞘(さや)書き」にあるという。1936(昭和11)年には、東京の百貨店松坂屋で開かれた「幕末水戸天狗党の歴史・遺品展」に特別出品されたという。
佐藤さんは、新選組の土方歳三、芹沢鴨、武田観柳斎のものといわれる刀を所有する。「歴史ロマンを感じてほしい」と、ゆかりの地の博物館などに無償で貸し出し、展示する活動も熱心に進める。
「田中は和田峠の戦いには関わっていないが、刀剣を集めていると、いろいろなご縁に恵まれる」と佐藤さん。「いろいろな人にその背景と歴史を感じてほしいです」と話している。