松本山雅FCの運営会社が、緑色大豆「あやみどり」を使ったミルクジャムとサルサソースの商品化を進めている。山雅の農業プロジェクトで栽培するあやみどりが、今年は記録的な不作。少ない原材料で作れる、付加価値が高い加工品の開発がペースアップした。今オフの発売を目指している。
山雅は2018年から地元の農家と協力し、松本市や安曇野市の遊休農地を活用して塩尻市産のあやみどりを栽培している。例年約2トンを収穫し、豆そのものを売ったり、クッキーに加工したりしている。
今年は約1.1ヘクタールに作付けした。作柄に異変が現れたのは夏ごろ。さやの中に実ができないという症状が、あちこちの畑で起きた。ほぼ全滅だった松本市中山地区の受託生産者・小林弘也さんは「暑さのせいだと思う。今までになかったこと。(山雅に)悪いことをした」と残念がる。
他地区も芳しくなく、収穫量の激減が見込まれた。大豆製品の売り上げで運営している農業プロジェクトにとって、原料の不足は致命的。6年目で最大の危機を迎えた。
解決策として持ち上がったのが、新製品の開発だった。少ないあやみどりでたくさん作れる、そんな製品はないか。構想していた中にぴったりなものがあった。ジャムとソースだ。
県内の企業と昨年から進めてきた開発のペースを上げ、レシピはほぼ仕上がった。ジャムは、つぶした豆に練乳などを加えた。あやみどりの味わいと甘さが溶け合う。ソースは、トマトをベースにタマネギなどを混ぜ込む。あやみどりは形が残り、豆の食感や味も楽しめる。ピザペーストやパスタに使われる想定だ。
「使用量は少なくても、あやみどりを味わえる製品になった。たくさんの人に山雅のあやみどりを手に取ってもらえる」と、農業プロジェクトを担当する山雅事業推進部の渡邉はるかさん。「新しい食べられ方は、農家のモチベーションになるはず」とも期待する。
ただ、瓶製品はスタジアム内に持ち込めないため、試合会場では売りにくい。直売所など主に地域の店舗で売っていくことになりそうだが、それは山雅や農業プロジェクトを広く知ってもらう機会でもある。
県内のデザイナーに依頼したラベル図案は、これまでのあやみどり製品に比べて山雅色が控えめ。ファン・サポーターではない人への土産にしてもらう意図もある。
「ジャムやソースは日常の食卓で使われ、生活に溶け込むもの。長く売れる商品にしたい」と渡邉さん。今後パッケージデザインや価格を決め、発売は年明け以降の予定という。
【ガンズリポート】あやみどり加工製品の開発加速
- 2023/12/01
- 松本山雅