独創的なアート生み出す曽根原淳悟さん

モチーフは宇宙、光、波、木など。画材はカラースプレー、レジン(樹脂)、筆、ペインティングナイフ、コンパス…。曽根原淳悟さん(35、安曇野市穂高有明)が、キャンバスに独創的なアートを生み出す。
作品のテーマは「救い」「愛」「桃源郷」。多くの作品に蓄光粉末を使う。暗闇でブラックライトを当てると違う表情が現れる。一つの作品に「昼と夜」がある。
繊細な気質で人間関係で大きなダメージを受けたことが、アートの世界へ飛び込む原動力になった。いつか、廃校にアート作品を並べ、作家と不登校の子や障がいのある子など、さまざまな人が集まる場をつくることが夢だ。夢のままで終わらせないためにも、描くことで前に進んでいく。

夢へ前進 癒やしの世界描く

動画投稿サイトで、米国人がスプレーアートを描くライブ配信を見て、感銘を受けた。「この道を探究したい」。曽根原淳悟さんの作品の原点だ。「他の人とかぶらない芸術家になる」と、動画や本を参考に、トライ&エラーを繰り返した。
光沢紙に外国産のスプレーを吹きかけ、ペインティングナイフで削る。コンパスの針でオオカミの毛並みを一本一本描き、立体感を出す。独自に習得した曽根原さん流の技法。スプレー用の型紙は、2千枚以上作った。
安曇野市出身で、子どもの頃の得意科目は音楽、美術、体育。サッカー少年だったので、スポーツ推薦で帝京第三高(山梨県)に進学。3年の時プロを諦め、帝京大経営学科に進学した。卒業後は東京でアルバイトをしていたが、地に足を着けた生活をしたいと、25歳で地元に戻り、派遣社員として製造業に就いた。
だが、感受性がとても強く敏感だったため、人間関係で心が疲れ、29歳で退職。カウンセラーのアドバイスで、絵を描くことを勧められた。これが「人生の転機だった」と振り返る。

覚悟と信念を作品に込めて

制作風景をライブ配信しながら作品を完成させ、販売してみた。最初は500円。もっとうまくなりたかったが、絵の勉強には画材が要る。お金がなく販路もない、先の見えない状態になった。苦しい中で「芸術家として生きたい。自分らしく描き続けたい」という覚悟と信念は曲げなかった。やがて作品は20万円になった。
作品は頭の中に降ってきたままに、自由に楽しく童心で描く。下描きもしない。この5年間「24時間を絵にささげている」と言い切れるほど、絵のためだけに生きてきた。
作風は固まっておらず、今後どう変化するかは分からない。「今描いている作品が、常に集大成」と語る。
夢がある。廃校を利用し、美術館や図書館、児童館、学習施設、動物保護施設などが詰まった場所をつくることだ。自由に制作活動ができ、作品は展示販売する。不登校の子どもが勉強したり、障がいのある子がありのままに表現したり、学んだりできる空間─。生きにくさを感じ続けてきたからこそ、たどり着いた夢だ。実現に向け、少しずつ準備を進めている。
老人福祉施設や児童福祉施設などで、作品展示やワークショップもやってみたい。自分が「アートに救われた」という思いがあるからだ。
「生きる希望を与え、つらい気持ちを癒やす力をアートは秘めている。自分の作品からオーラを感じてもらえたらうれしい」
12~18日にギャラリーノイエ(松本市大手3)で個展を、来年1月3~7日、信毎メディアガーデン(同中央2)でペーパーアート作家の月岡佳代子さんとのコラボレーション展を予定している。曽根原さんのインスタグラム