子どもが小さいうちは一緒の部屋、一緒の布団で寝るのが日本では定番です。何歳ごろになったら別々に寝られるようになるかは、家庭の状況によってまちまちではあります。ただ、不安が強く親に依存的で、一人になるのを怖がるお子さんの場合、一人で寝るタイミングがなかなかつかめないかもしれません。
そういうお子さんでも小学校高学年から遅くとも中学生ごろには、自立に向けて段階的、戦略的に親子の距離を取っていくことを推奨しています。自分の部屋で一人で寝るということは、親子の距離を取っていく上で一つの鍵になると思います。
「もう中学生だから」と一方的、強制的に別々に寝ることを強いてしまうと、かえって不安が強まったり、親から拒絶されたと曲解して傷ついたりするかもしれません。本人が自分の部屋で過ごすこと、一人で寝られるようになることに、前向きなモチベーションが持てるようにお膳立てしていくことが大切です。
いつ自分の部屋で寝るようにするかは、話し合って本人が決められるとよいでしょう。そしてそれに向けて、自分の部屋の居心地が良くなるように整えていくことが大事です。夜寝る時だけでなく、日中も自分の部屋にこもって、自由に楽しいことができるようにして「自分の城」感をつくっていくことが、一人で寝る時に自分の部屋に安心を感じられることにつながります。自分の好きなグッズで部屋を飾るのもいいでしょう。
寝付くまでに不安にならないように、親の代わりになるような縫いぐるみや抱き枕、ぬくもりがわりの湯たんぽ・電気毛布、好きな香りのするアロマグッズや音楽を聴く装置など、本人が安心して眠れるためのグッズを一緒にそろえていくのもいいですね。
そんなふうにモチベーションを高めて、親子の距離を取っていくことで、お子さんの自立を見守れるといいなと思います。
【なないろキッズ】 #91 一人で寝られるには
- 2023/12/28
- 小児科医・新美妙美のなないろキッズ