就労支援事業所の作業療法士 北村聡さん 二刀流かなえ夢の食堂出店

料理に事業所利用者育てた野菜

松本市の作業療法士・北村聡さん(27)は、発達障がいや精神障がいのある人が利用する就労支援事業所で働きながら、休日は飲食店が日替わりで入る松本城近くの「タカノバキッチン」(開智1)に出店し、夢だった飲食業に携わり始めた。月に2度ほど店を出し、料理には事業所の利用者が育てた野菜も使う。

「いずれ飲食を」京都から帰郷

北村さんの「まるきた食堂」初出店は今月10日。決まったメニューはなく、この日は牛すじとタマネギを煮込んだ「和風だしカレー」と生チョコタルトを販売した。「子どもからお年寄りまでが『おいしい』と食べてくれた」という。
地元出身で京都府の大学に進学し、資格を取って府内の総合病院に就職した。飲食店に関心があり、「京都で食べ歩きを楽しもう」とガイドブックを買った社会人2年目に、新型コロナウイルスの緊急事態宣言が発令され、自分で料理をする機会が増えた。友人らにも振る舞い、「料理をするのが楽しく、食べて喜んでもらえるのも楽しくなった」。
松本に戻りたかったのと、視野を広げたいという思いが重なり、昨年末に病院を退職。8年暮らした京都から帰郷し、「いずれは飲食店を開きたい」と、まずはアルバイトをするつもりだった。漠然と「自分の店を持ったら、障がい者が育てた野菜を使いたい」と考えていた昨秋、利用者が野菜を水耕栽培する就労継続支援B型事業所「はなひらく」(寿北7)が開所するのを知って関心を持ち、就職した。

本職でも来春から弁当作りに

20種ほどの野菜を作る「はなひらく」で、利用者をサポートする仕事は充実しているが、村さんの飲食業への思いは消えなかった。キッチンカーでケバブ店を営み、「タカノバキッチン」の管理者に就いた幼なじみの牟禮(むれ)和貴さん(27)から声がかかり、店を出せることに。
「はなひらく」は来春、塩尻市内に2カ所目の就労支援施設を開く。北村さんはここで、利用者が弁当を作って配達する部門も担当する予定で、「本職でも飲食に携われそう」と喜ぶ。
病院に勤務した時に、普通に食事ができない人が大勢いることを知った北村さん。「入院生活は食べることくらいしか楽しみがないのに、『おいしくない』と残す人も多く心が痛かった」という。自身が飲食に携わっていく中で、食事に制限がある糖尿病患者や、飲み込みが難しいペースト食の人も楽しめる食事を開発したいと考えている。
まるきた食堂の出店予定などは、同店のインスタグラム=https://www.instagram.com/marukita_shokudou/=に。