【醸し人】#12 ドメーヌ・ヒロキ 醸造責任者・内川雄一郎さん

町そのものを表すワイン

2020年にオープンした池田町唯一のワイナリー「ドメーヌ・ヒロキ」(同町会染)の醸造責任者、内川雄一郎さん(40)。「この町のテロワール(ブドウ畑を取り巻く自然環境要因)を表現できるワインを造りたい」と意気込む。
北アルプスから吹き下ろす風、年間降水量の少なさ、水はけの良い土、昼夜の寒暖差の大きさ―など、ブドウ栽培に適した池田町。「特に赤ワイン用のブドウにいい土地。しっかり熟し、着色もすごくいい」とうなずく。
22年には「DOMAINE HIROKI ルヴェデュソレイユ 2020」が、日本ワインコンクールの欧州系品種赤部門で金賞を受賞した。
池田町出身。父が同町の酒蔵・福源酒造に勤務していたため、幼い頃から、酒の造り手に関心があった。大学で経営学を学び、仕事を決める際、「日本酒の造り手」と思った。しかし醸造学を学んでいない。だったら「遠回りでも違う視点から醸造に関わりたい」と、佐久市のみそ製造会社に就職した。
25歳で地元に戻り、再び日本酒の造り手の道を考えたが、冬場だけの仕事で狭き門。酒を醸すという点で同じワイン造りの道に方向転換し、近隣のワイナリーに就職。畑を管理したり、原料の仕入れを担当したり。県やワインメーカー主催の勉強会に出席し、知識や技術を身に付けた。
20年、ドメーヌ・ヒロキへ移籍。醸造責任者としてこの町らしいワイン造りに取り組んでいる。手を加えるが、加え過ぎない。適度にサポートする感覚がそれだ。
「池田町そのものを表したようなワインができたらいい」。造り手から地元愛が伝わってくる。

【沿革】
ドメーヌ・ヒロキ
 2008年、運営する合同会社ヴィニョブル安曇野設立。09年、大手ワイナリーと契約栽培をスタート(約2ヘクタール)。12年、株式会社に組織変更。17年、別のワイナリーと契約栽培を開始し、栽培面積は計5ヘクタールに。20年、ワイナリー完成。委託醸造ワインの販売開始。21年、自社醸造ワインの販売開始。

【内川さんおすすめこの1本】
ドメーヌ・ヒロキロゼ2023(750ミリリットル2750円)(4月下旬からの大型連休前後に発売予定)

【相性のいい料理】
サーモンソテー、豚しゃぶ、レバニラ炒め、ペペロンチーノ

【連絡先】
ドメーヌ・ヒロキTEL0261・25・0024