亡き祖父が主人公の絵本自費出版 祖父の人生から幸せと苦労知った 世代間の交流大切に

絵本を持つ耳塚さん。編集・デザインは、いとこで横浜市在住のアラキユリさんが担当した

安曇野市穂高有明の耳塚優衣さん(29)は、亡き祖父を主人公にして絵本「小さなおうちのお星さま」を描き、自費出版する。著者名は旧姓のタムラユイ。絵は淡いパステル調にした。「人生にはつらいこともうれしいこともある。祖父の生き方を通して、『今あること』が幸せだと伝えたい」との思いを込めた。
87歳となる2018年まで生きた祖父、田原貞儀さん。晩年は家族に囲まれ穏やかに過ごした。「若い頃は体が弱く、戦争に行けなかった。うまくいかないことも多かったけれど、それが良かった。今の幸せにつながっている」。本人の言葉が耳塚さんの心に残る。
戦後は数学の教師になった。「祖父は悔しい思いをたくさんしたから体を鍛えた。丈夫になって足も速くなって、体育教師にもなった」と耳塚さん。
祖父が大好きだったので、よく話を聞いた。その時間がなかったら、幸せの後ろにあった苦労を知らなかった。違う世代の人と話す大切さに気づけた。
孫のために紙芝居を作ったり、絵本を読んだり。影響を受けた耳塚さんは、今も絵本好きで、友人や子どもに絵本を作ってきた。
2年ほど前、絵本コンテストへの応募を思い立ち、祖父の人生を題材にした。多くの人に読んでもらいたい気持ちが強まり、応募作品を基に、読みやすくして完成させたのが「小さなおうちのお星さま」だ。
B5判変形、28ページ。パレードブックス発行、星雲社販売。1320円。28日発売。500冊作り、全国の大型書店と、県内でも平安堂各店などで扱う。
本の制作中は「背中を押してくれる夫や、子どもを預かってくれる義母、協力してくれる友人がいた。みんなに助けられていると感じた」と耳塚さん。
人同士の関わりが少ないといわれる昨今。「大変なこともあるけれど、人と関わって生活することは大切。絵本をきっかけに、多世代が集まる場所をつくりたい」。夢は続く。