国家資格「キャリアコンサルタント」役割や必要性は

県キャリアコンサルタント協会池口理事長に聞く

職業選択や能力開発に関する相談・助言を行う専門家「キャリアコンサルタント」。最近、耳にするようになった国家資格だ。少子高齢化による人手不足や働き方改革などが課題になり、企業では「人的資本経営」の推進が重要視されている。こうした中、キャリア形成や自己実現を支援するキャリアコンサルタントは今後、活躍が期待される仕事だ。一般社団法人長野県キャリアコンサルタント協会(松本市県1)の池口良明理事長(72)に、その役割や必要性などを聞いた。

キャリア形成や自己実現を支援

─「キャリアコンサルタント」の具体的な仕事は。
就活中の学生や、やりたい仕事や適性で悩んだり、転職を検討したりしている人など、働くことに迷っている人たちの相談に乗ります。
これからは、人材不足が社会課題になる中、約6千万人といわれる労働者一人一人の生産性を上げることがキャリアコンサルタントの重要な役割になります。
相談者の適性、仕事歴やキャリアに対する考え、家庭事情などを聞き、コンサルティングでモチベーションを高め、意識改革や行動変容につなげます。
─「人手不足」の現状と対応策は。
日本全体で毎年55万人の人口が減っている。これは、毎年鳥取県がなくなるレベルです。ある研究によると2030年には働き手が644万人不足すると予測されています。
こうした状況の中、AI(人工知能)など、テクノロジーによる対応が求められる一方、女性や外国人、シニアの活躍が期待されます。「人生100年時代」。個人の生き方や働き方の多様化に伴い、副業・兼業、フリーランス、オンライン活用など、柔軟な雇用形態や働き方を取り入れることが必要になります。
─企業や組織の具体的な対応策は。
社員一人一人のパフォーマンスを向上させる必要があります。そのために「マネジメントのプロ」を育成し、人材育成の徹底や個別面談などを推進、人事評価により「自らを育て・自らが育つ」という環境をつくることが大事になります。
企業の人事管理は今までは大局的な「マス管理」でしたが、これからは「個別管理」が重要になります。個々にきめ細かく寄り添い、生産性を向上させ企業業績につなげる。このためにキャリアコンサルタントの支援が必要になってくるのです。

【一般社団法人長野県キャリアコンサルタント協会】
現在、会員数101人で、キャリアコンサルタントの資格取得者は81人。資格者のうち約40人が同協会の名刺を持ち副業を行う。
実務を経験しながらステップアップできる取り組みや、公共機関、企業、学校関係などでキャリアサポートを行う。
松本市内で9月から、経営者・管理職、キャリア指導者、人材ビジネス関係者など対象の「キャリアコンサルタント養成講座」を開催する。
同協会TEL0263・87・5308