
「新しい自分になるためにチャレンジしなきゃ!」。指導者の声を受け、子どもたちが必死でボールを追う。
昨年4月、スクール活動(スキル向上が目的で公式戦に出ない)から発足した少年サッカークラブ「FCVICUS(ヴィークス)」は、今年2月、チーム活動(公式戦勝利を目指す)に踏み出した。指導者は、クラブ代表の恒本大輔さん(41)と矢田部匡(たすく)さん(38)。共に1月末まで松本山雅FCユースアカデミーでジュニア(小学生)年代を中心に監督・コーチを務め、チームを全国大会へ導くなどの実績がある。
「VICUS」はラテン語で「道を切り拓く」の意味。「サッカーを通して『できた』という経験を積み、人生を切り拓く力を付けてほしい」と恒本さんは願う。
結果より課程可能性広げて
4年前、コロナ禍で松本山雅FCのアカデミー活動が休止し、有り余る時間の中で、恒本大輔さんは「幸福」とは何かを考えるようになった。
「目の前の選手を成長させることに使命感を抱きつつも、セレクション(選抜テスト)に不合格となった多くの選手が気にかかっていた。山雅は自分の存在と関係なく、トップクラブとして在り続ける。ならば僕は、地域の子どもたちの可能性を広げられる場所をつくりたいと思った」
矢田部匡さんに相談した。「アカデミー選手が将来プロになろうとなるまいと、彼らが大切であることに変わりはない。結果より子どもたちが成長する過程を楽しみたい」と同じ思いを抱いていた。一緒にチームを立ち上げようと決めた。
FCVICUSの活動場所は平瀬運動広場(松本市島内)。年中から小6まで、多くの会員が松本市や安曇野市から集まる。スクール生の前田湊翔(みなと)ちゃん(4)は、3歳上のチーム生の兄と共に通う。母親の香澄さんは「褒める、厳しくするのめりはりがいい。信頼感がある」、チーム生の齊藤大翔(たいが)さん(10)は「サッカーがうまくなれた。週4回の練習も大変じゃない」。
10代から世界で活躍する選手が増え、都市部では小学校低学年ごろから熾烈(しれつ)な競争が繰り広げられている。一方県内では、小4くらいからクラブチームの選択が始まるのが現状。恒本さんは「低学年のうちからハイレベルな環境でトレーニングを積むことで、都市部の選手たちとも切磋琢磨(せっさたくま)し合えるはず」と確信する。
「観察し、理解すること」を重んじる。選手は今何に挑戦しようとしたのか、ミスの原因はどこにあるのか。プレーを見て一人一人の心情まで想像する。言われたことをすぐ理解できる子もいれば、かみ砕いて伝えないと分からない子もいる。本当に必要な言葉を選び、どんなトーン、タイミングで伝えるか。子どもたち自身の力で考えてほしいからこそ心を砕く。
「選手は僕らから厳しいことを言われたり、試合のメンバーに選ばれなかったり、負けることも当然ある。大切なのは悔しさを次にやるべきことに向け、挑戦し続けること。それが競技の世界でサッカーを楽しむことだと思う」と矢田部さん。
「変わる」瞬間立ち会える喜び
4年前、コロナ禍で松本山雅FCのアカデミー活動が休止し、有り余る時間の中で、恒本大輔さんは「幸福」とは何かを考えるようになった。
「目の前の選手を成長させることに使命感を抱きつつも、セレクション(選抜テスト)に不合格となった多くの選手が気にかかっていた。山雅は自分の存在と関係なく、トップクラブとして在り続ける。ならば僕は、地域の子どもたちの可能性を広げられる場所をつくりたいと思った」
矢田部匡さんに相談した。「アカデミー選手が将来プロになろうとなるまいと、彼らが大切であることに変わりはない。結果より子どもたちが成長する過程を楽しみたい」と同じ思いを抱いていた。一緒にチームを立ち上げようと決めた。
FCVICUSの活動場所は平瀬運動広場(松本市島内)。年中から小6まで、多くの会員が松本市や安曇野市から集まる。スクール生の前田湊翔(みなと)ちゃん(4)は、3歳上のチーム生の兄と共に通う。母親の香澄さんは「褒める、厳しくするのめりはりがいい。信頼感がある」、チーム生の齊藤大翔(たいが)さん(10)は「サッカーがうまくなれた。週4回の練習も大変じゃない」。
10代から世界で活躍する選手が増え、都市部では小学校低学年ごろから熾烈(しれつ)な競争が繰り広げられている。一方県内では、小4くらいからクラブチームの選択が始まるのが現状。恒本さんは「低学年のうちからハイレベルな環境でトレーニングを積むことで、都市部の選手たちとも切磋琢磨(せっさたくま)し合えるはず」と確信する。
「観察し、理解すること」を重んじる。選手は今何に挑戦しようとしたのか、ミスの原因はどこにあるのか。プレーを見て一人一人の心情まで想像する。言われたことをすぐ理解できる子もいれば、かみ砕いて伝えないと分からない子もいる。本当に必要な言葉を選び、どんなトーン、タイミングで伝えるか。子どもたち自身の力で考えてほしいからこそ心を砕く。
「選手は僕らから厳しいことを言われたり、試合のメンバーに選ばれなかったり、負けることも当然ある。大切なのは悔しさを次にやるべきことに向け、挑戦し続けること。それが競技の世界でサッカーを楽しむことだと思う」と矢田部さん。
技術的なこつをつかんだ瞬間、会場の準備など、指示されなくても自ら行動できるようになった瞬間。プレーでも日常の中でも、子どもたちが「変わる」瞬間に立ち会えることが何よりうれしい。
「選手も保護者も他チームも巻き込んで、みんなで地域のサッカー環境を良くしたい。将来は山雅のユースやトップチームで活躍できる人材もVICUSから出したい」と恒本さん。「とはいえ『将来の飲み友達を育てている』感じもある」と矢田部さんは笑う。
「サッカーがうまくても下手でもいい。挑戦も失敗も、必ず人生の太い根っこになる。大人になった彼らともずっと付き合っていけたら、僕らの人生幸せだなと思います」
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