朝日村針尾のギャラリー「BLUE HOUE STUDIO(ブルー ハウス スタジオ)」で7月12~15日、金沢市の写真家阿部充紘さん(27)が5年前、パレスチナとイスラエルで撮影した写真展「Wandering Olive Trees(ワンダリング オリーブ ツリーズ)」が開かれる。他者との“境界線”をテーマに、報道写真とは違った、市井の人々や風景を捉えたモノクロ写真が並ぶ。
大学生の頃、独学で写真を始めた阿部さん。世界を旅して境遇や価値観が違う人たちと出会う中で、自分と他者との違いや“境界線”に興味を持ったという。2018年10月から半年間、パレスチナ西岸地区に滞在し、イスラエルを行き来しながら撮影した。
展示写真には、双方の衝突を感じさせるものだけでなく、一般家庭のガレージにたたずむ精気のないパレスチナ男性と馬、モスクで祈っている途中で眠ってしまったであろう男性の姿も。「パレスチナの写真の固定概念を覆され、ある意味リアル」とギャラリーオーナー宇賀神拓也さん(47)は評する。宇賀神さんが阿部さんの写真集を見て、展示を打診した。
阿部さんは「他者と分かり合うには、自分の常識に入れ込まず、他者との境界線を手探りする姿勢が必要だと気付いた。その難しさも感じてもらえたら」。その後もアメリカとメキシコの国境など国内外の撮影を続けている。
正午~午後6時。入場無料。期間中、阿部さんは在廊。13日午後2時半からトークショーをする。同ギャラリーTEL080・2252・6061