思い出語らい着物に新たな命 朝日村「あさひさんでい講座」で和風チュニック作り

興味広がる交流の場もう一度

「お嫁入りの時に母が持たせてくれたけど、一度も着てないのよ」「これは息子の卒業式で着たもの」…。そんな話をしながら、女性たちが楽しそうに着物をほどいたり縫い合わせたりしている。朝日村社会福祉協議会が開く「あさひさんでい講座」の一つ、着物をリメークする「和風チュニックをつくろう」の様子だ。
「着物と対話をして」と呼びかけながら指導するのは、趣味で着物リメークに取り組んでいる筒井詔子さん(63、小野沢)。「捨てても惜しくない」と思うような古びた着物でも、糸をほどいて洗い、干してアイロンをかければ「驚くほど生地が若返る」という。その生地を、普段から着られるようなチュニックやブラウス、エプロンなどに生まれ変わらせている講座を訪ねてみた。

思い出話にも花楽しく着物再生

「和風チュニックをつくろう」は5月開講。6月中旬の3回目では、既に1着目を仕上げて2着目に取り組む人、やり方を参考に自作したエプロンを着てくる人、話を聞いて初めて受講した人などさまざまだ。
「昔の親は、自分のことはさておいても、嫁入り道具に着物を作ってくれた。だけど今はほとんど着る機会がない」と口をそろえる参加者たち。「いい機会をつくってもらった」と笑顔を見せる。
中田豊子さん(74、小野沢)は「長い間たんすのこやしになっていた。虫干しするには手間がかかるし、売ったとしても二束三文。親の思いがある物なのでむげにはできず、どうにかしなきゃとずっと思っていた」と話す。
そんな着物を活用できるとあって、参加者たちは、手を動かしながら昔話にも花を咲かせる。
「しゅうとめの晴れ着をほどいた時に、胸に付いていた染みを見て『おっぱいがにじみ出たんだろうな』と、その時の気持ちを考えた。ひいおじいちゃんの着物で作ったベストを着ていると、声が聞こえてくるような気がする」と話す筒井詔子さん。
「型紙を待ち針で留めると、定規で線を引くのに不便。落ちているような石を拾ってきて、重しにすればいい」「どうせ自分が着るんだから、線を引くのは鉛筆で十分」など、着物への思いを大切にしながらも、気楽に取り組める作り方を指南する。
チュニックだけでなく、ブラウスやエプロン、ロングベストなどの服の他、100円均一ショップで買ったファイルにショールを両面テープで貼り、ベルトを付けてバッグを作るなど、アイデア豊富な筒井さんの作品の数々を見て「次はこれを作りたい」と、早速取り組む参加者もいた。

コロナ禍で縮小 久々の複数講座

「でかける・であう・できる」が合言葉の「あさひさんでい講座」は、3カ月が1クールで全6回。以前は歌や書道、手芸、陶芸など、同時間に3講座ずつを行い、毎回50人ほどが参加していたという。コロナ禍以降は中止や縮小を繰り返し、人との距離を取るために、2021年度からは「やわやわ体操」の1講座だけを続けてきた。現在は合間にお茶を飲みながら交流する時間も大切にしているといい、毎回30人ほどが参加しているという。
今期は体操に「和風チュニックー」を加えて、久しぶりに複数の講座開催となった。同じ時間に開いているので、参加者が別の講座をのぞいたり、興味を示して次回から参加したりと、活動や興味の幅を広げるきっかけになっているという。
村社協職員の北沢朋子さんは「これまで自粛していた人たちも、少しずつ来てくれるようになった。これからもいろいろな人が参加できるよう、内容を考えたい」と話した。