登山家の三戸呂拓也さん 山での経験と魅力語る

八十二文化財団(長野市)は6月29日、教養セミナーを松本市勤労者福祉センターで開いた。大町市で育った登山家、山岳カメラマンで国立登山研修所(富山県)講師の三戸呂拓也さん(39、東京都)が約140人を前に「山の魅力山が教えてくれたこと」と題して語った。
三戸呂さんは、大町高校(現大町岳陽高)山岳部に入部したきっかけや、主将を務めた明治大山岳部で学んだチームワークの重要性、中学校教員を務めた時期に生徒の姿から登山とは違う刺激を得たことなどを語った。
初参加したヒマラヤ遠征では、雪崩事故で登山隊の仲間が亡くなった。「登山の正体を見た気がした。人が悲しむためにやってきたのかと思え、むなしかった」。帰国後の報告会では、思いがけず温かい言葉をかけられた。「登山は自己満足だが、大勢の心の温かい人に支えられている。日常でも誰かの支えに気付くことはなかなかできないが、あいさつとお礼はきちんと言える人間になろうと思った」
足に大けがを負い登山ができない時期は、「積み重ねたものがゼロになってしまう」不安があったが、「生きているからこそ、また積み重ねることができる。ヒマラヤでの事故が教えてくれた」。
「山が教えてくれることは自然が教えてくれることと同じ。自然の中で生活すると心が豊かになると信じている」と結んだ。
講演を聞いた日塔純さん(21、安曇野市)は「一つのことを一生懸命続けると形になって見えてくるものがあると示してくれた。考え方を揺さぶられた」と話した。