【信大講座新聞をつくろう2024】授業・食事 コロナ禍の学生生活 変化は?

信大の勝亦講師(右)と信大生協の田島専務理事

MGプレスが信州大全学教育センター(松本市旭)で開く寄付講座「新聞をつくろう!」。本年度受講した1年生20人が2~4人のグループで、それぞれ関心を持った七つのテーマを取材した。

新型コロナウイルスの感染拡大により、私たちの生活は大きく制限された。大学はどんな影響を受けたのか。私たちは、授業と食事という観点から信州大の学生を巡る変化を取材した。

【授業】オンライン選択肢増 信大キャリア教育・サポートセンター勝亦講師に聞くー

授業について聞いたのは、信大キャリア教育・サポートセンターの勝亦達夫講師(44)だ。大学で共通教育の授業も担当している。
私たちの入学前に始まったコロナ禍について、「教室に人を集めてはいけないということで、(2020年の)コロナ初期は授業を完全にオンラインで行っていた」と教えてくれた。
授業システムを突然変えるのは難しいかと思われた。しかし、信大は県内各地にキャンパスが点在している“タコ足キャンパス”であるため以前からオンライン会議が行われており、教職員の順応は早かったそうだ。最初は慣れなかった学生たちも徐々に適応できるようになったという。
コロナの制限が緩和されると、勝亦さんは、対面授業とオンラインで受けられる授業を並行して行うようになった。そして、コロナの感染症法上の位置付けが5類に移行して迎えた本年度もオンラインを続けている。
理由について、勝亦さんは「オンライン授業は、教室の人数制限を気にせずに済むのでたくさんの人に学ぶ機会を提供することができる。学びたい人がしっかり学べるように全力で選択肢を提示したい」と話した。
共通教育の授業全体を見ても、オンライン授業の数は、コロナ禍のさなかと比べると減ったが、それ以前よりは5、6倍になった。コロナ禍で信大生の学びの選択肢は増えたと言えそうだ。

【食事】食堂利用が激減悩み 信大生協田島専務理事に聞くー

一方、キャンパスでの食生活はどうなったのか。大学内の食堂を経営している信州大学生活協同組合の田島伸専務理事(51)に聞いた。
大学食堂の利用者数は、コロナ禍で激減したという。例えば、松本キャンパスで多くの学生が利用する主な二つの食堂では、5月の利用者数が行動制限の始まる前後の2019年と21年を比べると約4万7千人から約半数になった。
田島さんは、利用者が減ったことについて、オンライン授業の増加が要因の一つではないかと考えている。オンライン授業はキャンパスへ行かなくても授業を受けることができるため、家で授業を受け、家で食事を済ませるという学生が多くなったと分析する。
授業には、100人から200人が参加するクラスもある。百人単位の人たちがキャンパスに来なくなれば、食堂の利用者も減る。
そして、生協の経営にとって悩みとなるのは、現在の利用者数もコロナ前より少ないことだ。今年5月の2食堂は、19年5月の7割余りにとどまった。

「ミール定期」ぜひ利用して

そこで、本年度から「ミール定期」という新しいサービスを始めた。事前に料金を支払うことで、食堂で利用できるお金が毎日スマホの決済アプリにチャージされるという仕組みだ。チャージ金額は600円と1200円の2種類から選ぶことができる。
チャージ総額は、期間中の利用日数が多いほどお得になる。食堂の利用者を増やす狙いで導入された。
さらに、ミール定期は学生の健康維持にも効果を期待できると田島さんは言う。
「学生には1人暮らしが多いので、食事をおろそかにしてしまいがち。ミール定期によって価格を気にすることなく食事をし、多くの学生に食堂を利用してほしい」と期待を込めて話した。
コロナ禍で学生が食生活を管理する手段も増えた。

取材を終えて

恩田菜々美(経法学部) 初めはミール定期を紹介することが目的だったが、最終的にはより大きく広げることができた。コロナウイルスは私たちの生活に打撃を与えたと同時に、新しい選択肢も与えてくれた。変化に柔軟に対応する力が求められていると感じた。
東海林諒(理学部) 信大の食堂が混んでいるのはミール定期の影響ではないかと考え、取材をしようと始まった。結局、食堂の混雑との関係は分からなかったが、コロナ後の学生の好みや授業方法が大きく変化したと取材で知り、コロナの影響は大きかったのだと改めて実感した。
牧田和万(工学部) アイデア出し、取材、原稿執筆と自分たちで一から新聞を作っていく経験は今までになく、とても新鮮な気持ちでできた。書く段階では、書き方次第で情報が大きく変わり、読者の受け取り方を変えてしまうことが分かった。情報を伝える側の人間は責任を持って伝えなければならないなと思った。