【ガンズリポート×信大講座新聞をつくろう2024】信大病院と連携し小児患者と家族支援

MGプレスが信州大全学教育センター(松本市旭)で開く寄付講座「新聞をつくろう!」。本年度受講した1年生20人が2~4人のグループで、それぞれ関心を持った七つのテーマを取材した。

選手交流 心の安らぎに

松本山雅FCと信州大病院(松本市旭3)が連携し、小児入院患者と保護者をサポートするプロジェクトを始めた。長期入院している子どもと、その苦しい状況に24時間付き添う保護者のストレスを和らげて少しでも快適に生活してもらうため、山雅の選手やスタッフらが病院と協力する。

地域に寄り添い課題解決の力に

第1回の6月26日は、DF馬渡和彰選手、FW浅川隼人選手が病棟を訪れた。子どもたちや保護者と交流し、栄養バランスに配慮した弁当を選手が直接手渡した。
初めは硬い雰囲気だったが、選手たちが一人一人の話に真摯(しんし)に向き合い、励ますと、徐々に和んだ雰囲気に。保護者は充実した様子だった。
付き添い保護者の生活は、かねて病院の課題だったという。子どもに付きっきりになるため、十分な食事時間をとることが難しい。病院内のコンビニで済ます人もいるが、飽きてしまったり、栄養面で問題があったりする。食事以外でも自由な時間が少ないためストレスがたまってしまう。
そこで手を挙げたのが山雅だ。これまでも地域貢献活動の一環として、信大病院と協力し、妊産婦や若い親がサンプロアルウィンで観戦できる環境づくりなどをしてきた。この「ママサポ企画」を今回、サッカーとは直接関係ない病院の中に広げた。
交流後、浅川選手は「地域を応援し、応援される関係になりたい。多くの選手が参加し、選手としてクラブとして成長したい」と語り、クラブ全体として取り組むことを強調。馬渡選手も「大切なことは単発で終わらせず、継続させることだ」と話した。
信大医学部周産期のこころの医学講座の村上寛講師は「医療従事者だけでは解決することができない問題を松本山雅FCという発信力の大きいものを使って解決したい。関係者みんなに利があるプロジェクトにしなければならない」と話す。
企画に関わったNPO法人松本山雅スポーツクラブの渡邊はるかさんは、クラブのPRにせず、地域の課題解決に山雅が寄り添う形を取りたいという。事前に選手に問題意識を持ってもらうようクラブが働きかけたり、信大病院との信頼関係を強めたりする必要を感じているという。
今後、月1回の開催を目指すが、定期的にこなすだけの活動にはしたくないとしている。

取材を終えて

押部春稀(工学部) 今回の取材で、松本山雅FCの地域貢献への積極的な姿勢を見ることができた。私は大阪出身で、ガンバ大阪やセレッソ大阪などのチームを応援していた時期もあった。地域貢献活動を気にかけたことはなかったが、これからは注目していきたい。
長谷川蒼大(農学部) 松本山雅FCというクラブは地域と密接な関係にあり、ともに成長するクラブだと感じた。このママサポ企画を担当した信大医学部の村上寛講師は、保護者の課題を解決しようと長らく熱心に取り組んでこられたことが短い時間であっても感じられた。