鍛錬の成果記録と記憶に刻もう 全国高校総体 中信勢19競技に16校170人

今夏の全国高校総体(インターハイ)は主に福岡、佐賀、長崎、大分の北部九州4県で開く(サッカーは福島県と北海道、ヨットは和歌山県)。すでに一部の競技が始まり、27日の総合開会式後に日程が本格化する。
中信勢は19競技に16校の170人(男子97人、女子73人)が出場。県大会や北信越大会で優勝や上位入賞、条件の記録突破を果たした。鍛錬の成果を全国のライバルたちと競い、その名を記録と記憶にとどめよう。

【なぎなた・団体試合/演技 大町岳陽】
団体県勢出場は14年ぶり実りある大舞台に

▽団体試合=大町岳陽(藤岡夏望(なつみ)、伊藤優奈=以上3年、伊藤望、奥原夢、下川真由=以上1年)▽演技=藤岡・伊藤優、奥原・下川
全国総体は女子のみ。競技は、防具を着けて定められた部位を打突して対戦する「試合」と、防具は着けず指定の形を「しかけ」と「応じ」の2人一組で行う「演技」がある。
5人が対戦する団体試合に県勢が出場するのは、同校の前身の大町が2010年に出て以来。今回県総体に出場したのも同校だけと県内の競技人口は少ないが、同校は「剣道・なぎなた同好会」として活動するメンバーが熱心に勧誘し、人数がそろった。
全員が高校で競技を始め、大町市内の社会体育の教室でも稽古し、経験が長い有段者の男子2人と共に汗を流す。始めて1年足らずで北信越国スポ(8月)の県代表に選ばれた伊藤優は「指導者のアドバイスを素直に受け入れ、短期間で伸びた実感がある」。
団体の目標は、予選リーグ(27日)で「まず1勝」。昨年は演技で全国総体に出場した部長の藤岡は「明るく元気なチーム。自分たちの実力を出せるように」と力を込め、外部コーチの町田純子さん(48)は「やる気にあふれ、吸収力もある。全国での経験をパワーに変えてほしい」と伸びしろたっぷりの選手らを鼓舞する。

【柔道・女子団体/個人 松商学園】
3年ぶりの団体県王座一戦一戦全力尽くす

◇女子▽団体=松商学園(椿原梨央、永田夢空(ゆめあ)、我妻結凪(ゆうな)、中村美結=以上3年)▽個人48キロ級=小松美里(2年)▽同63キロ級=我妻▽同78キロ級=椿原
過去16度を誇る県王座を、2年続けて佐久長聖に奪われていた団体。現チームになってからも勝てなかったが臥薪嘗胆(がしんしょうたん)。部員は自分の強みを磨き、相手の研究を続けた。
雪辱を期した県総体。6校による決勝リーグは4勝1分けの相星。長聖との直接対決は3人とも引き分けた。雌雄を決する代表決定戦は、主将の椿原が技ありで勝ち、3年ぶりの県王座奪還と全国総体出場を決めた。
勝利の瞬間、ほっとしたという椿原は「ようやく全国にチャレンジするスタートラインに立った。力を出し尽くし、いろんなものを得たい」。
積極的に攻める椿原、スピードの永田、独特のリズムで相手を惑わす我妻。「個性の強い者同士が刺激し合い、力を出せている」と補欠の中村。トーナメント初戦は2回戦(8月12日)。目標は8強入りだ。
個人で県を制して全国出場を決めた小松はこの半年間、同じ大内刈りが得意な部OGのパリ五輪カナダ代表・出口クリスタの試合の動画を毎日のように見て研究し、技に磨きをかけてきた。
昨年の県総体で敗れた長聖の同学年のライバルを、今年は自身も納得の戦いで退けた2年生は「日本一を目標に、一戦一戦全力を尽くす」と力を込める。

【ソフトテニス・女子団体/個人 東京都市大塩尻】
県初制覇後も愚直に練習目標は日本一

◇女子▽団体=宮本菜々子、永井美羽、黒岩陽夏(ひなか)、武重希空(のあ)、堀内柚羽(ゆずは)、野口菜々花(ななは)=以上3年、小松美結、小林琴乃=以上1年)▽個人=宮本・永井、黒岩・武重
県総体の団体で悲願の初優勝。昨年と一昨年は決勝で松商学園に敗れ、今年はその松商を準決勝で破った東海大諏訪と決勝で対戦し、2─0で振り切った。1回戦から全5試合で1ペアも負けなかった強さは、悔しさを原動力に地力を付けた証しだ。
3年生の3ペアは均等に力がある。ストロークをミスした際はフォームを見直すなどして修正力を高めたり、試合中に仲間同士でアドバイスし合って即座にプレーを改善したり。実戦経験も豊富だ。
全国総体出場を決めた後の北信越総体(6月)は、1回戦で砺波(富山)に1|2で敗戦。序盤でリードしながら、最終ゲームまでもつれて逆転負けしたペアもあり、「めちゃくちゃ悔しかった」と主将の宮本。この敗戦で意識やプレーが変わり、部員同士で課題を出し合い、弱点を克服するための練習メニューに愚直に取り組む姿勢が際立っている。
団体は28日に全試合を行い、初戦は男女アベック出場の強豪・高田商業(奈良)と対戦。「相手は強く、自分たちの力では足りないかもしれないが、試合の中でもプレーを向上させたい。目標は日本一」と宮本主将。その言葉に迷いはない。

【ボクシング・男子ライト級 織田蒼獅】
緊張せず得意の中距離戦で実力発揮を

◇男子ライト級=織田蒼獅(そうし)(松本工業2)
県総体の同級(56キロ超60キロ以下)は4人が出場。2分3ラウンドでトーナメントで争い、初戦は2ラウンドRSC(レフェリー・ストップ・コンテスト)勝ち。
決勝は下高井農林の3年生と対戦。緊張から得意とする中間距離を保てず、相手に中に入られ、パンチも大振りに。有効打は奪えなかったが何とか判定勝ちし、全国総体初出場を決めた。
指導する松本ACEボクシングジム(松本市渚2)の髙山祐喜会長は「プロ選手と一緒に練習できる恵まれた環境にいながら、ふがいない試合だった」と高校の後輩に苦言を呈し、織田も「緊張しやすいのが自分の弱点。性格が出た」と反省している。
「ダイエットが目的」で、鎌田中1年時に同ジムの門をたたき、高校生になって「本格的に頑張ってみよう」と競技を始めた。昨年12月の県新人大会で初の公式戦に臨んで以降、戦績はここまで4勝2敗。身長172センチながら長い手足はボクシング向きだ。
「全国のリングでまず1勝」と、1回戦(8月8日)に照準を合わせる。

【陸上男子・100メートル/200メートル 西澤諒】
身に付けた中盤の加速力武器に結果を

◇男子100メートル、200メートル=西澤諒(松本美須々ケ丘3)
県総体2連覇の100メートルは、北信越総体5位(10秒68)で昨年に続き2回目、200メートルは県3位(22秒00)、北信越4位(21秒60)で初めて全国総体の走路へ。
旭町中3年時に100メートルで北信越大会に出場し5位に。高校1年時は結果が出ず、フォームの改造に取り組んだ。ユーチューブで他の選手の走りを見て研究し、自身の走りを動画で撮影して課題を見つけ、また走る|。
少しずつ改善を重ね、「理想に近い走り方ができるようになった」2年時に、満足のいく結果が出るようになった。身に付けた中盤の加速力が強みだ。
本番は、100メートル(29日)で自己記録の10秒63を上回る10秒50台を狙う。当日までの調整メニューも自身で考え、照準をぴたりと合わせて「まずは予選突破。決勝進出を狙う」。日程に余裕があるため出場する200メートル(31日)も「21秒30が出れば準決勝に進める」と意欲を見せる。
県勢男子短距離のエースとして臨む大舞台だが「気持ちのいい走り、楽しい走りがしたい」と気負いはない。

【少林寺拳法・女子単独演武 コピトスキー怜奈河上】
北信越Vの今年8強入り狙う

◇女子単独演武=コピトスキー怜奈河上(塩尻志学館3)
同種目で3年連続の出場。過去2回は15位、9位で予選敗退。北信越総体で初優勝して臨む今年こそ、予選(26日)を突破し準決勝進出(8強入り)を果たしたいと意気込む。
カナダ人の父と日本人の母の間に生まれ、木曽町日義で育った。小学4年時に千曲市に引っ越すと、近くに少林寺拳法の道場があり、経験者だった母の勧めで通い始めた。同い年の女子がいて、2人で技を披露する組演武に取り組んだ。「小中学校時代は楽しめればよかった」
高校入学と同時に木曽町に戻り、経験者が少ない部で単独演武に取り組むことに。他の部員に教えることも多く、「復習の機会になる」。学校近くの道場「塩尻桔梗道院」で、レベルの高い練習に精を出す。
大会では、技の切れや正確さ、気合などが評価される。出稽古に行くと、道場によって同じ技でも動きや体の使い方が違うことがあり、参考にすることで動きのスピードが増したことを最近感じる。
少林寺拳法は、精神修養による自己確立も主な目的。むしろ勝ち負けにはこだわらないという考え方だが、「大会に出るからには目標はあった方がいい」と集中している。

中信地区その他の出場者(校名・名前の後の数字は学年)

【陸上】▽男子近藤孝太(松本蟻ケ崎2・走り幅跳び)、岡村聡真(穂高商業3・ハンマー投げ)、濱野大輝(松商学園3・800メートル)、中村駿汰(松本国際3・110メートル障害、400メートル障害)、小松瑠希(同1・棒高跳び)、井澤眞成(同3・円盤投げ)
▽女子谷川慶奈(松本深志2・棒高跳び)、降旗菜央(松本国際3・走り高跳び)、北沢真輝(同2・円盤投げ)
【柔道】▽男子梶田哲成(松本第一3)、伊坂煌(同3)、牛木利幸(同3)
【ソフトテニス】▽男子古幡悠馬(都市大塩尻3)、笠原朗杜(同2)
▽女子中島菜々美(松商学園2)、近藤愛(同2)、南原優衣(同2)、髙橋日向子(同2)、小林彩花(松本蟻ケ崎3)、牛越香奈羽(同2)
【テニス】▽男子松商学園(国永紘資3、山崎嘉太郎3、原山将豪2、宮澤啓介3、笹森大貴2、五十嵐煉1)
▽女子松商学園(藤井柑奈3、南風音3、井上みのり3、山田舞子2、保志場美空3)
【バレーボール】▽男子松本国際(小林智哉3、楊賀然2、山田丈琉3、西村堅志2、勝山敬太2、小田切航輝2、木村海斗1、林優斗3、長縄眞斗1、高山晴登2、田澤十希2、溝渕冬馬1、マネジャー武澤晴空1
▽女子都市大塩尻(北堀未森3、富樫來華3、涌井涼帆3、武井陽菜3、馬淵天怡2、大木愛唯2、清水奏帆2、上杉海琉2、今井絢菜2、佐藤まひろ1、下原実緒3、篠原美澪1)
【卓球】▽男子松商学園(櫻井颯良3、北沢竜梧2、北原陽太2、冨岡仁2、望月陽向2、河上想大1、嶋田凰雅1)
▽女子松商学園(宮島泉実3、朝倉姫星3、丸山穂乃香3、丸山優香3、青木菊乃2、中島菜摘2、加藤礼菜1)
【バドミントン】▽女子青木りりか(蘇南2)、下島結羽(同2)
【体操】▽男子星河快(大町岳陽2)▽女子大町岳陽(吉澤萌々3、穂刈日向香3、安田もこ1、米野めい1)、赤羽真緒(塩尻志学館1)
【新体操】▽女子小林千奈乃(松商学園2)
【相撲】木曽青峰(伊藤凜空3、吉本斗羽2、神山優輔3、中谷良典3、下原登希3、千邑拓夢1、澤口広1)
【弓道】▽男子塩尻志学館(渡辺浩太2、片平俊輔2、三嶋健渡2、小原銀之介2、長嶺芯3、小林愉羽2)
サッカー】▽男子都市大塩尻(召田海斗3、荒木悠作3、小山哲3、土屋裕希3、千葉昊佑3、木間勘太2、市川響己3、橋本瑛生2、多田井亮2、北村優3、米山颯3、増沢拓3、村上颯汰3、一志天2、大西明伸2、増田琉星2、羽田宗真3、牛島柊也2、増田貴一2、角田迅3
【登山】▽男子松本県ケ丘(内坂遼馬3、川口智崇3、宮本鴻太3、松﨑梓3)
【重量挙げ】▽男子マクルアジェイムズ香要(松商学園3)、降旗恭吾(同3)、川口祐太朗(同2)、セコンド木村漣(同3)▽女子市川紗菜(松商学園3)、藤井優采(同2)、セコンド川﨑心愛(同2)
【自転車】▽男子青木優人(松本工業3)、谷口達哉(同2)、貞末武蔵(同2)、丸山大智(同2)、山田愛太(白馬3)
【空手道】▽男子松本第一(清水和玖3、丸山承太郎3、森山周哉3、横澤亜貴斗3、大野瑛間2、金谷月輝2、鈴木翔大2、内川朝陽1、髙橋康太1)
▽女子松本第一(大輪凪穂3、池田心咲2、曽根原ひかり2、早川実花2、荒井彩心1、黒岩日和1、村田美蕾1)、丸山詩和(塩尻志学館3)、竹野穂乃花(松商学園3)
【なぎなた】三浦百椛(南安曇農業3)
【少林寺拳法】▽男子桑島直優(松本深志2)
【水泳】▽男子林龍(大町岳陽1・50メートル自由形)
(敬称略)