松本市内の70~80代の女性5人でつくる写真サークル「写好(しゃこう)会」は、発足から40年近く活動を続けている。日常生活の一こまや身近な自然などの被写体を「わくわくしながら、さりげなく」撮影。写真を通して講師と会員が和気あいあいと交流する雰囲気も長続きの秘けつだ。
和気あいあい40年近く活動
月1回、勉強会と称して撮影のこつを学んだり、情報交換をしたりする場を設け、春と秋の年2回、撮影に出かける。講師は発足当初から松本市の写真家、小林睦和さん(77)が務める。個々の感性を生かしたアドバイスや指導が長年、会員から好評を得ている。
一昔前までは、マイクロバスを借り、県内外の各地に足を運び、その地域の伝統行事や風景などを撮影。また、松本市と姉妹都市の神奈川県藤沢市の写真サークルと交流するなど、写真を通してさまざまな場所や人とのつながりもあったという。
現在、会長を務める松尾満喜子さん(77)は、入会当初はカメラには興味がなかったが、和気あいあいとした会の雰囲気が気に入り、22年目。写真撮影をすることで自身の日常生活や考え方にも変化があったという。
「雨上がりには、クモの巣にキラキラと輝く滴を撮りたい」、「雪の日は木の上に綿帽子が見られるかな」など、意識しなければ見過ごしてしまう日常の何げない風景を「わくわくしながら観察するようになった」と松尾さん。「季節ごとの自然の豊かさや美しさをより敏感に感じられる」と笑顔を見せる。
北野敬子さん(74)は入会36年目。同会の作品展に展示された日常を切り取ったスナップ写真に刺激を受け、「こんな写真が撮りたい」という思いから入会した。
「孫が生まれた」「きれいな景色を見た」など、その一瞬一瞬を作り込まず、さりげなく撮るのが好みのスタイル。「写真は、自分の人生を振り返ることができる。年は取るが、記憶は鮮明によみがえります」と、写真に対する深い思いを語る。
自己表現の手段写真を楽しんで
1986年当時、働く女性や主婦の福利厚生を目的とした施設「働く婦人の家」で開いていた写真講座で、講師をしていた小林さんと講座参加者14人で同会を発足させた。ピーク時は20人ほどの会員が活動していたという。
小林さんは、「自分の特技が何か一つでもあれば自信につながる。自己表現の手段として写真を楽しんでもらえたら」と話す。
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