トレーナー高橋智子さんに聞く集中力上げるこつは?

勉強やスポーツなどあらゆる場面で重要な「集中力」。ここぞという時に発揮してほしい、とわが子に願う保護者は多いと思います。そこで大町岳陽高校(大町市)野球部や県スピードスケートジュニア強化チーム、エムウェーブスケートクラブ(長野市)などで小中高生を中心に指導する日本集中力育成協会の集中力トレーナー高橋智子さん(松本市)に、集中力を高めるこつなどを聞きました。
「一瞬に、一点にすべての力を集める」ことを集中といいます。誰もが持っている能力です。例えばゲームや遊びに夢中になり過ぎて親に「やめなさい」と叱られても、やり続けたり話しかけられても気がつかなかったりというケースがあります。無我夢中で没頭する─これも集中です。
ただ、自分で「集中するぞ」と思ってできるかというと難しい。集中するまで時間がかかる場合も多いです。
しかし“一流”といわれる人たちは、ここぞという勝負どころで集中できます。みんな最初からできていたかというとそうではなく努力の結果。奥は深いけれど、私たちも身に付けられます。

集中力を高めるトレーニングの一例を紹介します。
用意するのはテニスボール2、3個。机や床にタオルを敷いてボールを1個置き、その上に1個積み重ねます。
うまく乗らないときは、上のボールにペンで小さい点を書き、その点が天井を向くように持ち、真上から見下ろす姿勢で乗せてみてください。
何度やっても積めないのは、ボールに目の焦点が合っていない(視覚をボールに集中させられない)から。時間をかけると気が散ってしまうので、できないときは1回休みましょう。目を閉じて深呼吸し、周りから聞こえる音を三つ探します。その後もう一度挑戦します。ボールの上下を変えて積んでみるのもお勧めです。
できなくても大丈夫。チャレンジすることが大切です。成功したら「できた!」としっかり喜びましょう。
一度成功すると、自転車に乗れた時と同じで次もできます。徐々にスピードもアップします。慣れてきたら片手で積んだり、親子で時間を競ったりしても面白いです。何よりゲーム感覚で楽しみながら挑戦してみましょう。
やればやるほど感覚的にボールの重心を捉えられ、楽に積めるようになります。あくまでも目安ですが、1分間に5回くらい成功できるようになれば、3個積みの感覚がつかめます。

子どもたちを指導して感じるのは、どの子もダイヤモンドの原石だということ。それに磨きをかけるのが集中力です。大半の人は早い段階で諦めて、磨くことをやめてしまいます。
ボール積みを小学生にやってもらった時、すぐにできた子がいました。1人ができると、周りの子も「自分もできる」と思って挑戦する。「無理」という概念がありません。
残念なことに成長するに従い、「特別な能力がある人だけができる」という思いになりがちです。でも私たちには想像以上に素晴らしい能力がある。使い方が分からないだけかもしれません。
意識の持ち方と行動で物事は変わります。一番もったいないのは、できないと決めつけること。子どもも大人も挑戦する気持ちを持ち続けましょう。