県外者に教わった新たな魅力
夜空を見上げてみませんか─。温泉宿泊施設ファインビュー室山(安曇野市三郷小倉)は810日、「小倉室山、『星の工作と星空観察』」を開く。あまり注目されてこなかった星空の美しさに注目。地域の新しい魅力として発信し、活性化や移住者増につなげる。
昼の部では、工作をしたり、星空案内人(民間資格)がプロデュースしたコーヒーを購入できたりする。夜の部で、星空観察会などをする予定だ。
昨年に続き2回目。前回は悪天候で星空が見えず、映像観賞に変更したが、開催後のアンケートが好評で、今年の開催につながった。関係者は「小倉ファンが増えれば」と期待する。
人口減に歯止め活性化につなげ
標高800メートルのファインビュー室山から見る星空の美しさは─。講師の一人で、星空案内人の資格を持つ鈴木幹人さん(静岡県焼津市)は「松本盆地があって夜景が見える。農園や自然もあり、緑が多い。山も見える。それ以上に空が広がる。これだけの(良い条件がそろった)星空は珍しい」。小倉区長会の相談役、大栗勲さん(69)は「天の川も見える」とその魅力を話す。
8月10日の「小倉室山、『星の工作と星空観察』」は昼の部(午後3~5時)、夜の部(7~9時)の2部制。講師は、鈴木さんの他、河村幸子さん(浜松市)、準星空案内人の天野和代さん(静岡市)、和田瑞紀さん(同)が講師を務める。
昼は工作で、ストローとひもを使った星のオーナメントを作ったり、星空などをキーワードに生成AIで星空アート(写真)体験をしたり。鈴木さんがプロデュースした夏空を表現したコーヒーや地元喫茶菓子店「かまどのかみさま」のスイーツの販売もある。
夜は星空観察会。ファインビュー室山の照明を減らし、テラスから望遠鏡、双眼鏡で星空を見上げる。施設周辺で松枯れが深刻化する中、市耕地林務課がマツタケ復活に向けたエピソードを紹介するほか、ファインビュー室山の紹介などを予定している。
小倉地区の人口は2022年1月1日現在で2156人。12年より321人(13%)減少している。60代以上は45%と高齢化が進んでいる。人口減に歯止めをかけるため、移住者を増やす方法を模索。市と協力した移住定住推進の仕組みづくり、地域の魅力を発信するイベントを官・民・宿泊施設で協力して行う─などの取り組みをしている。今回の催しもその一つだ。
昨年、ファインビュー室山の開館25周年に合わせ開いた「星と音楽の夕べ」には、県内外から約40人が参加。あいにくの天気で星空は見えなかったが、鈴木さんらが講師を務め、プロジェクターを使うなどして星空の魅力を伝えた。
開催後行ったアンケートには、23人が回答した。小倉室山の魅力について(複数回答)は「星空がきれい」(11人)、「眺めがいい」(10人)、「自然が豊か」「温泉がいい」(各9人)。星空の話については「大変良かった」「まあまあ良かった」が回答者全員の23人。手応えを感じたという。
「地元に住んでいるが、星空のきれいさには気づかなかった。県外の人から地域の魅力を教えてもらった」と同施設の内田俊文支配人(55)。「今年こそは、多くの人に実際の星空を見てもらえたらうれしい」
北アルプス、田園風景、きれいな湧水─。安曇野の魅力だ。そこに「星空」が加わることを期待する。
入場無料。ファインビュー室山TEL0263・77・7711