池田「かえでの会」本をテーマに集い おすすめの1冊語り合いの記録

図書館に推薦 本町民の関心高く

「今回はこれを持ってきました。お薦めです」「あ、その著者知ってる!」「その話って…」
毎月第3木曜日の午前中、池田町の「町交流センターかえで」(池田)の一角で、こんな会話が飛び交っている。集まりの名は「ぶっくかふぇ・いけだ」。同施設の運営をサポートするボランティア組織「かえでの会」の図書館部会が主催し、町内外を問わず参加を受け入れている。
同会は活動記録を「おすすめの1冊」というA5サイズ約30ページの冊子にまとめ、町図書館はそれを基に、紹介された書籍を図書館の入り口近くに並べている。冊子は年1度のまとめで、すでに3回発行。150冊の書籍が紹介された。参考にする町民が増えているという。

新しい本との出合いに刺激

多目的施設「池田町交流センターかえで」は2019年9月、公民館と図書館が入る複合施設としてオープンした。「ぶっくかふぇ・いけだ」は翌年7月、「本をテーマにした楽しい集いを」と、同施設の運営サポートをするボランティア組織「かえでの会」の図書館部会(約15人)が始めた。
事務局がまとめた冊子「おすすめの1冊」によれば、初回は、お笑い芸人が社会問題を書いた「このゴミは収集できません」(マシンガンズ・滝沢秀一著、白夜書房)や、歴史小説の「熱源」(川越宗一著、文藝春秋)、絵本「もっかい!」(エミリー・グラヴェット著、フレーベル館)など、多彩なジャンルの7冊が紹介された。
22年2月、ロシアによるウクライナ侵攻が始まると、4月には「ウクライナを知るための65章」(服部倫卓、原田義也編著、明石書店)が話題に上がった。
冊子は、町生涯学習課の長澤史衣(ふみい)さん(42)が編集し、かえでの会会員の青山裕子さん(50)がレイアウトを担当。青山さんは「人と本、人と人とが結び付くお手伝いができてうれしい」。長澤さんは「編集に時間がかかるので、紹介されてから約1年遅れの発行になってしまう」と嘆くが、需要は大きい。
冊子の発行部数は各150部。図書館利用者に無料で渡しているため、先に出た2回分は残部がなく、今年5月に出したものも残部は少ないという。
図書館は、ぶっくかふぇ参加者が紹介した書名を聞き、実物を館内の目立つ場所に並べるなど工夫している。在庫がない場合は、購入できるように動くが、その財源も年2回、かえでの会が開く「リサイクル広場」で得た収入が大半だ。今春は協力金1万1千円余で12冊の本を購入した。
図書館副館長の小野理香子さん(61)は「ぶっくかふぇの推薦本を参考に借りていく人も多い。他の人がどんな本を読むのか関心が高い様子」と言う。
ぶっくかふぇの参加者たちも同じ思いだ。常連参加者の北原由美子さん(67)は「私は児童書を主に読んでいたが、ここで、大人用の本の良さを知った」。三浦らんさん(81)は「他の人が読んでいるものを知ることは刺激になる」と喜ぶ。大町市から参加している加藤直利さん(70)は「本から発展するフリートークの時間も楽しい」。
同図書館司書でもある大蔦奈美子さん(65)は、かえでの会会員としての立場からも出席。「皆さんの関心がよく分かって有意義」。事務局の長澤さんは「ただ、参加者が毎回10人に満たないのが残念。近隣市町村からでも無料で参加できるので、広めたい」と話す。
ぶっくかふぇは毎月第3木曜日午前10時~正午。問い合わせは町交流センターかえでTEL0261・62・2058