松本“深志神社のシンボル”姿を消す? 「赤い鳥居」解体へ 倒壊の心配改築し3年後復活予定

松本市街地の天神通りを東に向かうと、突き当たりに赤い鳥居が目に入る。深志神社(深志3)のシンボルだ。その鳥居が姿を消す!?柱が腐食し倒壊の心配もあるため、同神社が改築を決めた。3年後の2027(令和9)年7月に開く「天満宮御正忌(ごしょうき)1125年祭」の記念事業の一つとして実施。25日に神事を行った後、8月26、27日に解体する。
宮司の牟禮仁さん(75)は「危険な状態を放置するわけにはいかない」。再び姿を見せるのは27年5月の予定だが、解体した状態を見て、鳥居の「不在期間」を短縮できないか検討したいという。
深志神社は諏訪明神(建御名方富命(たけみなかたとみのみこと))の宮(みや)村宮(むらぐう)と、「学問の神様」といわれる菅原道真の天満宮を祭る。
鳥居の高さは5.8メートル、笠(かさ)木の長さは6.3メートル、柱は直径40センチある。「鳥居は神社にとって不可欠なもの。江戸時代からあった」と牟禮さん。ただ、今の鳥居がいつごろ建てられたかは不明だ。
1899(明治32)年に行った天満宮御正忌千年祭に合わせ、神社の建物・境内全体を改修整備する大規模な事業を実施したが「鳥居を改築した記録はない」。1843(天保14)年に記した『善光寺道名所図会(ずえ)』には鳥居が描かれ、「(建築時期は)その頃にさかのぼる可能性がある」(牟禮さん)。
鳥居にかけられた「深志神社」の社号額は、1841年に神道界の権威・京都吉田神社の吉田家から社名を許可された際、同家当主が揮毫(きごう)した文字を彫ったものだ。鳥居の改築に合わせ、この修理も行う意向だ。
牟禮さんは「今の鳥居の柱は使えないが、上の笠木・貫(ぬき)はある程度使えるかもしれない。解体してどのような状態なのかを調べ、改築の経費がどのくらいかかるのか確認する必要がある」と話す。
記念事業では、鳥居近くにある手水舎の改修も行う予定。同神社は、事業資金を調達するためクラウドファンディングの実施を検討している。深志神社℡0263・32・1214