自然任せ太陽の恵み実感 太陽熱温水器の集熱管でソーラークッキングに挑戦 

アウトドアシーズン。屋外で調理し、食べる料理の味は格別だ。電気やガスを使わず、太陽光を利用した「ソーラークッキング」が近頃注目を集めている。中信地区などで地上設置型太陽熱温水器を販売する日本ソーラーシステム長野(岡谷市)の藤澤眞司社長(61)らと、温水器に使用する集熱管を使った調理に挑戦した。

失敗もあり自由研究にも

調理に使うのは、同社が扱う真空管ヒートパイプ式太陽熱温水器「SOLAヒーター」の集熱部の二重構造円筒型ガラス製真空管を活用した器具「SOLAオーブン」。直径58ミリ(内径48ミリ)、長さ約60センチで、赤外線を吸収し熱に変える「選択吸収膜」と真空層の効果で、熱がこもりやすく外へ逃げにくい構造という。
調理は7月31日、富士見町にあるコワーキングスペース「富士見森のオフィス」の宿泊棟の屋外に設置された温水器の近くで行った。
今回は、湯沸かしとゆで卵に挑戦したほか、野菜(ジャガイモ、サツマイモ、アスパラガス、トウモロコシ、枝豆)とウインナーをアルミホイルに包み、筒に入れて焼いてみた。食材は筒の内径に合わせてカットする必要がある。
この日は日差しはあるが、太陽が時折雲に隠れる薄曇り。午前10時40分ごろから調理開始。器具を日なたに持ち出し、10分ほどですでに内部の熱を感じた。円筒形のため全方位から光を吸収し、日射があれば外気温に関係なく効率よく集熱するという。
筒内の温度はぐんぐん上昇し、30分ほどで100度超え。条件が整った夏場は200度以上になるという。
イモ以外の野菜とウインナーは50~60分ほどで食べ頃に。筒のふたを開けるとおいしそうな匂いが漂う。取り出したアルミホイルの表面はかなり熱い。湯気が立つ熱々の食材を口に運ぶと「完璧!大正解!」。そのおいしさに参加者全員の表情がほころんだ。イモは火が通りにくく、食べられるまで約2時間かかった。
水の温度上昇は緩やか。それでも2時間弱で約70度まで温まった。「温泉卵ぐらいにはなるだろう」と予想した卵は、割ってみたら「ほぼ生卵」。がっかりしたが、「自然の力をそのまま受け入れ、面白いと感じる感覚が、忙しさや便利さで奪われてしまっているのかも」という藤澤さんの言葉にうなずいた。
参加者の横田星羅さん(32、同町)は「時間はかかるが、物事をスマホでなく図鑑で調べている感じ。井戸水を太陽で沸かしたら絶対においしい」と、興味が湧いたようだ。
太陽が温めてくれたお湯で入れた梅昆布茶は、何ともほっこりした味わい。他の食材もぬくもりが感じられ、太陽の恵みを実感した。「自然任せの面白さ。失敗もあっていい」と藤澤さん。やけどなどに注意した上で、子どもの自由研究にもお勧めという。
「SOLAオーブン」は1万1千円。問い合わせは同社℡0266・55・9555