81歳現役のケアマネジャー 小林末子さん 50代から介護の仕事続け30年

塩尻市大門七区の小林末子さん(81)は現役のケアマネジャーだ。50代から介護の仕事を続け、4月からは、地域交流サロンとして大門商店街にオープンした「まちなか保健室塩尻」(大門一番町)の担当者という新たな役割が加わった。福祉に関心を持つきっかけは中学時代の恩師の優しさだったという。

気軽に楽しく利用者目線で

「まちなか保健室塩尻」は総合福祉施設「むつみの郷塩尻」の1階にある。火、木曜の午前10時~午後4時に開き、予約不要で誰でも無料で利用できる。健康や介護、生活の困り事などの相談にも応じる。
囲碁などの卓上ゲームに加え、今月から、eスポーツの「太鼓の達人」を導入。幅広い世代が集う場所を目指しており、「“保健室”という名前だけれど、楽しく交流ができる場所として気軽に寄ってほしい」と小林さん。
小林さんが介護の仕事に携わり始めたのは52歳の頃。「社会的に弱い立場の人を支援したい」と、上條記念病院(松本市村井町西2)に看護助手として入った。2000年に、ホームヘルパー2級を取得した。
60歳でケアマネジャーとなり、65歳で同病院を退職。その後は塩尻市社会福祉協議会で5年ほど働き、70歳でむつみの郷塩尻の前身「プレアデスコート大門」に採用された。
施設、訪問のケアマネジャーとして経験を積み、特に力を入れたのが認知症患者。「認知症の人は、一生懸命生きている。その思いに応えていきたい」と、認知症ケア専門士などの知識も得て対応してきた。
むつみの郷を運営する「ほっと・はあとグループ」(本社・松本市)の髙坂達博社長(47)は、「利用者一人一人に、その人目線で考え接してくれる」と、小林さんを評価。「利用者の人生を大切にする姿が印象的」とも。

恩師のような優しい人に…

1942年生まれ。戦争末期から終戦後の貧しい環境で育った世代。民主主義もまだ浸透していなかったが、小林さんには中学時代の担任の笑顔と優しさに、心を打たれたという記憶がある。
「それまで先生は上から子どもを見るような存在だったが、担任の先生は、貧しい子や弱い子に寄り添い、救い上げてくれる人だった」と、しみじみと振り返る。
結婚後、一男二女を授かった。末っ子が2歳だった頃の40代後半に夫を病気で亡くし、女手一つで3人を育て、50代で家を建てた。子育てが一段落した時にやりたかった仕事が福祉。中学時代の記憶がよみがえり、「恩師のように人に接したかった」。
以来30年間、高齢者福祉に携わり、「好きな仕事を続けられたのが幸せ」と小林さん。現在は長女と暮らしながら、週4日ほど働く。健康のために、整体師から教わった体操を30年間、続けている。
小林さんは「年に逆らうのではなく、年相応でいいから毎日を楽しむことが大切。死を意識することで生きている時間を充実させたいと思えるようになった」という。
「まちなか保健室」が稼働し、約3カ月。試行錯誤を続けながら「この場所が幅広い世代の出会いの場や、さみしさを抱える人の心のオアシスになれば。私自身もここに来てくれる人から学んでいきたい」と話す。
「まちなか保健室」の問い合わせはTEL0263・31・5013