「薬の神様」松本市中央の薬祖神社の井戸に再び湧き水を

「薬の神様」が鎮座する神社の枯渇した井戸に再び湧き水を-。松本市中央4の日の出町通り沿いの「薬祖神社」を守る薬剤師の団体・薬祖神社奉賛会は、同神社参道脇の井戸「日の出の泉薬祖水」の再生に取り組んでいる。災害時には近隣住民の給水拠点にもなるとし、復活に向けた費用をクラウドファンディング(CF)で募っている。

復活へCFで費用募る

同井戸は、環境省の「平成の名水百選」に選ばれた「まつもと城下町湧水群」の一つ。同会が神社と共に守っており、近隣住民や観光客に親しまれていた。
周辺の他の井戸が枯渇しても「決して枯れない」という言い伝えがあったが、一昨年あたりから水量が激減。水をくみ上げるモーターが空転するようになり危険も伴うため、今年4月に運転を止めた。
こうした事態に会員で話し合った結果、「再び湧き水を引こう」と掘削工事を行うことを決定。老朽化した木製のちょうず鉢を石製に変えることも決めた。
掘削と揚水設備工事は7月から行われ、既に完了。地下17メートルまで掘ると、湧いた水が自噴するようになったという。手こぎ式のポンプも設置した。
10月20日の同神社例大祭までに、ちょうず鉢を新調し、そこに水を引いて完成させる計画で、工事費約300万円、鉢代約250万円をCFで募っている。
長﨑昭夫会長(77)は「水道水を引く選択肢もあったが、長く親しまれた湧き水にした。CFにしたのは資金調達だけでなく、貴重な水が身近にあることを多くの人に知ってもらいたかったから」と話した。
CFは8月31日まで。