ロスタイム気迫の逆転
松本山雅FCは逆転勝ちも、複数失点しながらの勝利も、今季初めてだった。一時リードを奪った2点目は前半50分、決勝点は後半50分とどちらもロスタイムに、ボール奪取から一気に相手ゴールを陥れる気迫を見せ、3週間のリーグ中断後の初戦をものにした。
「ボール奪ってカウンター」狙い通りの攻撃
前半の2点目は、DF山本龍平の意外な動きから生まれた。自陣でボールを持つと、斜めに持ち上がる。左サイドバックが目がけたのは右サイド。「分析通りにスペースが空いていた」と山本。相手は前がかりになると、守備ラインの脇が空くという情報をチームで共有し、その通りの光景が、この時の右サイドに見えたという。大胆な動きには裏付けがあった。
FW安藤翼とのパス交換を経て、さらに右奥へ。「(中央で)菊井(悠介)がフリーだった」。好機と見て、流れのままにボールを送り込む。練習試合でも経験がないという、右足のアシストを決めた。
今季4アシストは、菊井の6に続くチーム2位タイだが、「まだ足りない」。接触を恐れず、これまで脳振とうによる交代を3度強いられているが、「症状は軽いんで大丈夫」。シーズン終盤に向けて意欲を前面に出す。
3点目も、自陣からのカウンターだった。ドリブルする菊井の他に、4人が相手ゴールに向かって走った。「今日は(ボールを)奪ってからのカウンターをテーマにしていた」と霜田正浩監督。その狙いを、選手が試合の最終盤でも遂行した。
分析を生かした山本の動きを含め、狙い通りの攻撃で結果を出した一戦。逆転昇格へののろしとなるか。