森の香りでリラックス 森林セラピスト甲斐原さん

「香浴森林浴」で自分を整える

登山や散歩など、森林環境に身を置くと爽快感や癒やしを感じる人は多いだろう。森林セラピストとして活動する松本市開智の甲斐原さなえさん(47)は、森の香りを楽しむ「香浴森林浴」を提案し2022年に商標登録、実践もしている。美容や健康など心身へのプラスの効果があるという。
森の中にあるさまざまな香りは、樹木や草花が放つ「フィトンチッド」(揮発性有機化合物)が正体。免疫力向上やリラックス効果、ストレス緩和が期待できる。森林の中を歩くと心地よさを感じるのはこのためだ。
緑の豊かさ、鳥のさえずり、草木の感触など、五感で楽しめる森林浴。甲斐原さんは「多様さを体感してもらいたい」と、香りに焦点を当てたプログラムを行う。

植物の種類や部位によって香りや成分が異なることを体感する「香浴森林浴」を提案している甲斐原さなえさん。乗鞍高原や上高地など、県内各地の森林で実践している。
甲斐原さんによると人間は古来、自然と共存してきた。だが、人工物が増え情報化が進んだ現代では、便利になった一方で特有のストレスを抱える人も多くなった。「お風呂やサウナなどのように、自分を整える行為の一つとして、森に体を置く習慣を取り入れてみてほしい」と話す。
横浜市出身。2011年の東日本大震災を機に、安心できる子育て環境を探し、12年に松本市に移住した。登山が趣味で「好きなことを仕事にしよう」と、八ケ岳や上高地などでガイド研修や養成講座を受け、19年、ガイド事業を開業。「癒やし」をテーマにネーチャーガイドや森林浴イベント、セミナーなどを開き、森林浴の魅力を発信している。
セミナーとワークショップが8月26、31日に松本市立博物館で午前10時半、午後2時、6時からある。香りを楽しむ森林浴ウォークは9月2、19日。アロマのブレンド体験や貸し切りランチなどが付く。問い合わせがあれば随時受け付ける。要予約。TEL080・1083・9155